クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

YouTubeチャンネルで動画を公開しています。チャンネル登録よろしくお願いします。お問合わせや情報などは、こちらのアドレスまで ysplaning@gmail.com   Instagramでも情報発信しています   Facebookページ随時更新中 noteで無料&投げ銭方式のコンテンツを公開しています。

HKS

【再掲載】2017年の内燃機関には電動スーパーチャージャーが流行るか

※2018年1月末にクローズしたcarview!個人というサービスがありました。そこに過去寄稿した記事を再掲載いたします。原文ママなので掲載時とは多少異なる箇所があるほか、名称なども掲載当時のママとなっておりますので、ご留意いただきますようお願い申し上げます。

HKS_e-sc
12V~200V級まで様々な電動過給を「人とくるまのテクノロジー展」に見た
毎年5月後半の時期にパシフィコ横浜にて開催される自動車技術会が主催する展示会「人とくるまのテクノロジー展」は、その時々の自動車関連のテクノロジートレンドを肌で感じることのできる貴重な機会と感じています。

2016年も「人とくるまのテクノロジー展」の会場に足を運びました。自動車メーカー、サプライヤー、測定機メーカーなどなど、海外からの出展者も含めて500社以上がブースを構える会場を行ったり来たり。ざっと一周するのに2時間、気になるブースを見て回ると、あっという間に一日が終わってしまうといった状況は例年と変わりません。とはいえ、電動化の波も一服したようであり、また自動運転についてはまだまだサプライヤーを巻き込んだトレンドになるフェイズではないようで、全体として大きな流れがあるようには感じられなかったのも事実。その中で、小さなトレンドとして気になったのは「電動スーパーチャージャー」なのでした。ターボチャージャーのコンプレッサーにも似た形状の遠心式スーパーチャージャーの駆動側に電気モーターを配した電動ターボともいえそうなスタイルの電動スーパーチャージャーが、いくつかのサプライヤーのブースに飾られていたのが、なんとも気になったのです。

海外サプライヤーのマグナ・インターナショナルとヴァレオの日本法人が展示していた電動スーパーチャージャーは、12Vと48Vの2種類。つまり、従来型乗用車の電装系にそのまま使えることを考えた前者と、新しい48V電装系トレンドに合わせた後者という2つのアプローチです。一方、日本の部品メーカーではチューニングパーツでも知られるHKSが12Vの電動スーパーチャージャーのプロトタイプを出品。自動車メーカーに収めることも考えているといいますが、日系のメーカーでは48Vが採用されるのは、まだまだ先という判断なのでしょう。もちろん、HKS独自の商品展開を考えると、アフターパーツも意識する必要があるわけで、12Vの電動スーパーチャージャーを優先して開発するというのは当然ともいえるのでしょう。とはいえ、出力のポテンシャルでいえば高電圧のほうが有利。ハイブリッドカーのエンジン部分に使うのであれば、ハイブリッドが使う数百Vの電気系を利用する電動スーパーチャージャーのほうが可能性は広がります。
Magna_ele-sc

減速エネルギー回生による充電したバッテリーでスーパーチャージャーを動かす
そうした高電圧の電動スーパーチャージャーが持つ可能性を示したのが、トラックメーカーのUDです。同社が提示したアイデアは、ハイブリッドトラックのエンジンに、ハイブリッドの高圧バッテリーからの電気供給を前提とした200V級の電動スーパーチャージャーを採用するというアイデア。エンジンを大幅にダウンサイジングしながら、電動スーパーチャージャーにより発進トルクの確保をすることで、大型トラックにおいても総合的に燃費改善が期待できるというパネルを展示していました。

さて、まだまだ環境性能を高めるためにはダウンサイジング過給エンジンというトレンドは続きそうですが、そこにおいて機械的・電気的な過給ではなく、排気の熱エネルギーを利用するターボチャージャーが使われているのは、パワーユニット全体のエネルギー効率を高めるために有効なのであって、結果的にクランク出力を奪うカタチになるスーパーチャージャーというのはエネルギーの有効活用という視点からはネガティブな仕組みという面もあります。一方で、ターボチャージャーよりも低速域から過給をかけることのできるスーパーチャージャーであれば、いままで以上にエンジンをダウンサイジングする可能性もありましょう。

そして、エネルギーの有効活用という点でいえば電動スーパーチャージャーには大いに可能性があると感じたのです。前述したように機械式スーパーチャージャーを動かすには必ずクランク出力を奪う必要があります。電動スーパーチャージャーにしてもオルターネーターを介してクランク出力を奪っているといえますが、減速エネルギー回生システムによって充電した電気を使う領域を広げることで、エネルギー効率に優れたスーパーチャージャーというポジションを得ることができるでしょうから。また、各社で話を伺っていると、過給のリニアリティや制御の自由度においても電動スーパーチャージャーは有利という印象。その意味では、アトキンソンサイクル(高膨張比)エンジンによるハイブリッドカーに、さらにハイブリッドの高圧系を使える電動スーパーチャージャーを組み合わせることで、より熱効率に優れたクルマが生まれてくる、といった予感めいたイメージが湧いてくるのです。もっと想像の翼を羽ばたかせれば、HCCIエンジンに電動スーパーチャージャーを組み合わせることで、HCCI領域のコントロールがしやすくなるかもしれません。

電動スーパーチャージャーはすでに実用化されている技術ですが、その可能性は現在のイメージよりも広がっていくと感じたことが、2016年の人とくるまのテクノロジー展における収穫のひとつだったのです。

-----------------
精進します。
  




人気ブログランキング

【動画】ドグミッションを活かす左足ブレーキ【ディレチャレ】

シフトダウンは左足ブレーキでクラッチ操作なし、シフトアップはクラッチを踏んで

HKSのドグミッションを組み込んでいるというFD3S・RX-7のチューンドカーによるサーキットアタック(ディレチャレ)のインカー映像。ムービー内でも紹介されているように、Hパターンのドグミッションを活かしてシフトダウンは左足をブレーキに専念させ、右足で回転を合わせるというノークラッチ操作が特徴的で印象的。もはや、ストリートラジアルでのタイムアタックでも、このレベルのドラテクが必要な時代になったのだなあ、とシミジミ。確認する限り、シフトアップではクラッチ操作をしているのは、なぜなのか気になってみたり。このレベルのドライバーになるとシフトミスでのオーバーレブを防ぐ(対処する)ためではないでしょうし……。



それにしてもペダル操作専用カメラも用意した3画面のムービーは見どころいっぱいで、何度も見たくなる1分弱。おそらく大井さんのアイデアで撮ったムービーだと思うのですが、相変わらずマニアックというか、マニアの興味があるポイントを押さえた映像に感謝感激であります、ハイ。

精進します。
  




人気ブログランキング
 

このエンジンと、このフロントマスクを組み合わせたい

オートサロン関係では、ディテールで欲しくなる、パーツのために車体が欲しくなる などというエントリもあげたのですが、もう一台ほど物欲を刺激するクルマがあったのでした。

正確には一台ではなく、まったく異なるブースで見かけた2つの要素を組み合わせたいという欲望ムクムク。

「このエンジンを、あのクルマに載せたい」といったところでしょうか。

そのエンジンとは、こちら。

HKS_FA20_SC

西ホール、HKSブースで見かけたスバルFA20(D-4S)エンジンのスーパーチャージャー仕様。インタークーラーとオイルクーラーも合わせてディスプレイされた上、まとまっている印象。開発から、それなりの時間も経っていることもありますし、パイピングの出来からも、かなり完成度も上がっているだろうと期待するところ。

スーパーチャージャーなので、ATとの組み合わせもありなのだろうな、と思いつつ、入力トルクの増大へのユーザーサイドでの対応を考慮するとMTで強化クラッチをセットするといった駆動系をイメージするのでありました。

このエンジンが欲しいとなれば、86/BRZしか選択肢がないわけですが……どうせならば、この車体に載せたいなと。

Damd_86_vant

北ホールにあったダムド作の「86 VANTAGE 」。

見ての通り、アストンマーチン・インスパイア系ですが、このグリルとヘッドライトをつなぐ造形の見事さに感銘を受けた一台であり、このナリであればこそ余裕のパワートレインを搭載したいと思ったのでありました。

もっとも、この姿にはパドルシフト(AT)のほうが似合うかもしれません。

そんなこんなを夢想した2015年の東京オートサロン。夢で終わらせない、実行力を身につけねばなりません。すっかり人生も後半戦でありますし(汗)


精進します。






ランエボXファイナルエディション、タービンは?


LanEvo_finaledition

DCTモデルは生産中止がアナウンスされていて、MTモデルについても遠からず同じようなことになるのが予想されているランサーエボリューション。

一時代を築いたマシンだけになくなると予想するだけでも寂しいものですが、ここ数年の”放置プレー”ぶりからすると、すでに”エボリューション”することを止めているともいえ、そうした動きも致し方ない話なのでしょう。

なにしろ、2015東京オートサロンに出品されるコンセプトカーの名前は、まんま「ファイナル コンセプト」なのですから。



というわけで、DCTモデルの生産中止後にも継続生産される5MTをベースとした 「ファイナル コンセプト」は、HKSチューンによる480馬力のエンジンというのがトピックス。

あくまでショーモデルであって市販には無関係かもしれませんし、かつてUK三菱がコンプリートカーとして売ったように、ハイパワー仕様の限定的な市販のリサーチかもしれませんし。

もはや、ランサーエボリューションがファイナルになってしまうことは避けようのない既定路線とすれば、最後の一花として、こうしたハイパワー仕様の『ファイナルエディション』の実現には期待したいところではあります。
実際、HKSのGTタービン8262 Kaiを使えば、480馬力というのはリアリティある数字。その制御を、メーカーが担当(純正ECUのアクセス権をもらったHKSのスタッフなら尚良?)したとすれば、かなり気になる一台といえそう。

これは東京オートサロンでは、タービンの確認はマストであります。

もっとも、ランサーエボリューションの場合、後方排気なのでタービンは見えづらいかもしれませんが(汗)
 
精進します。

4b11_evo_15_Turbo engine





 

HKSがスバルBRZに不等長エキマニを作った……

2014-06-04-11-22-54

こちら、先日の取材で拝見したBRZのエキゾーストマニホールド。

かつてボクサーエンジンの象徴ともいえた左右で長さの異なるパイプは、しかも左右で太さも異なる(短いほうが微妙に絞ってある)という様子を見れば、これが数値的に性能だけを求めたものではないのは明白。

実際のパフォーマンスではノーマルを上回っているということですが、それでもチューニングアップというよりは、自分好みのカスタマイズを行なうというマインドで生み出されたパーツであって、こうしたアソビが生まれてくる時代になったのだなあ、と感慨ひとしお、なのでありました。

その開発秘話などは、こちらのペーパーメディアに掲載させていただきましたが、こうしたアソビココロあるパーツは社長のアイデアによって生み出されたというのも驚き。さすが、ユーザーマインドに近いところで長年トップを走り続けているメーカーならではだな、と思わされたのでもありました。
 

そうそう、このボクサーサウンドを味わえる不等長エキゾーストマニホールドを生み出したのは、ニッポンのチューニングシーンで圧倒的な存在感を放ち続けるHKS。取材させていただいたのは、コチラのパッケージで、気になるサウンドもYouTubeにて公開されております。ご視聴あれ!

1000馬力の走り、をムービーで体感

フェラーリのV12ミッドシップ・ハイブリッド・パワートレインについてのエントリをあげたのは、2年も前の話ですが、おそらくそのパワートレインを搭載しているはずの「ラフェラーリ」がフィオラノのテストコースを走っているムービー”The LaFerrari: pure adrenaline”が公開されております。

laferrari

The、Laと冠詞が並んでいるようにも見える車名(そしてLaとFerrariはくっついているのを再確認)、ピュアアドレナリンという自信満々でシンプルなタイトルなど、フェラーリだから嫌味に感じないというブランド力はさすがだなあ、と思いながら再生をクリックすると……



たしかに、シンプルにラフェラーリの走りとエキゾーストノートとスキール音だけが聞こえてくる映像。50秒余りと短い時間ですが、濃縮なムービーを堪能であります。

ところで、エンジンとモーターを合わせたシステム出力で950馬力以上といわれる「ラフェラーリ」ですが、このムービから感じる限りでは、いわゆる高回転エンジンの官能性というのはそれほどないような印象だったりするのは気のせいでしょうか。

Ferrari HY-KERS 2012001

しかし1000馬力近いパワーを、ムービーにもあるように自在に路面に伝えられるタイヤやシャシーには驚くばかり。そして、1000馬力という数字からの連想で、R35GT-Rを独自の手法で進化させたジャパニーズ・スーパー・チューンドカーの映像を検索、ついつい見入ってしまったのでした(汗)



記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

月別アーカイブ
  • ライブドアブログ