クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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DCT

新型NSXの9速DCT、驚きのレシオカバレッジ6.05

2017_Acura_NSX___067___Rear_Direct_Drive_Motor_Packaging

Type 9-Speed Dual Clutch Transmission (9DCT)
Gear Ratio
1st 3.838
2nd 2.433
3rd 1.778
4th 1.428
5th 1.211
6th 1.038
7th 0.881
8th 0.747
9th 0.634

いろいろあって、新型NSXのスペック表(北米仕様)を見ていて、いまさらながら驚いたのは、そのギアレシオ。

9速DCTを採用しているとあって、全体にワイドなレシオカバレッジ(変速比幅)で上のギアはツーリングモードなのかとおもいきや、レシオカバレッジは6.05といまどきにしてはタイトで、それを9速で割っているわけですから、おそらく乗っているとクロスした感覚を味わえるのでは?

ちなみに、9速AT(トルコンステップAT)の雄といえるZFの9HPはレシオカバレッジ9.81で、実際に運転しても各ギアがかなり離れている感触。それとNSXの9速DCTを比べると、9HPにおける1~6速を9ステップに割ったのがNSXという感じであります。同じ9速といっても、目的は別物で、かなーり異なるキャラだと感じるのでありました。


参考リンク
http://hondanews.com/releases/2017-acura-nsx-technical-introduction 

とはいえ、まだデビュー前のNSX。登場しても、しばらくは動かす機会などないでしょうから、この辺りを体感するまでには、まだまだ時間がかかりそうなのでもありました(汗)


精進します。

 








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ダウンサイジングターボ+DCTにも「ふんわりアクセル」はアンマッチ?

ダウンサイジングターボにDCTは合わない、のかというエントリも先日上げたばかりですが、そういえば、「ふんわりアクセル」は向かない? 小排気量のマイルドハイブリッドというエントリも上げておりました。

この2つを合わせるわけではありませんが、ダウンサイジングターボにもふんわりアクセルは合わないのでは? と感じる今日この頃。そして、後者のエントリでは、いわゆるドイツの定番的エコドライブテクニックを念頭に次のような一文も記したのでした。
目標速度までは素早く加速して、そこから巡航(コースティング)領域を長くとった方が燃費に有利
実際、ドイツ系のダウンサイジングターボでも、ゆっくりと加速するよりは、急発進は論外としても、それなりにキビキビと加速させて巡航モードの時間と距離を稼ぐほうが市街地燃費には効くという印象あり。
 

いや、より正確にいうならば、トランスミッションにDCTを使うダウンサイジングターボでは、ブーストの立ち上がりとクラッチの負担軽減を意識すると、じわじわ加速するというのはノーサンキューといいますか、現実的ではないという話であります。

逆に、そこそこ排気量のあるNAエンジンで、トルコンATと組み合わせているパワートレーンであれば、クリープでタイヤを転がしてからジワリとアクセルペダルを踏んでいくだけで十分な発進ができましょうし、そうしたクルマにおいては「ふんわりアクセル」という意識は、燃費だけでなく、同乗者にもやさしいドライビングとして、わかりやすいキーワードになるのでありましょう。
その意味で、2000年代の国産車のトレンドを考えると、「ふんわりアクセル」というのは、多数派に通用するテクニックとして、わかりやすく効果的といえるのかもしれません。

精進します。

2015-08-04-07-57-12
あくまで画像はイメージです(出汁)
















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DCTの代名詞、フォルクスワーゲン「DSG」は北米から消滅する?

ボルボが新たに採用するダウンサイジングターボにステップATを組み合わせるということで、もしや小排気量ターボとDCTは合わないのか? という、ひとつの仮説を設定してみた今日このごろでありますが、アメリカではフォルクスワーゲンでさえダウンサイジングターボとDCT(フォルクスワーゲン的には「DSG」)の組み合わせを避けている模様。
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というわけで、フォルクスワーゲンが1.4リッターのダウンサイジング系ガソリン直噴ターボ(TSI)を北米に投入すると宣言でありますが、従来からある1.8リッターのTSI同様に2ペダルは6速ステップATを組み合わせる模様。

彼の地のユーザーニーズに、リアリティを感じるほどの肌感覚はありませんが、使われ方や期待値などの条件からDSGでは対応できないという判断なのでありましょう。




では、DSGは消え去る運命にある(少なくとも北米市場)のかといえば、さにあらず。2015MYのゴルフ(北米仕様)を見ると、ガソリンターボはMTとステップATの設定ながら、クリーンディーゼルにはDSGは健在。
The 1.8-liter TSI engine is mated to either a traditional five-speed manual gearbox or a six-speed automatic transmission that is optional on the S and S with Sunroof models and is standard on the SE and SEL. The EA288 TDI Clean Diesel sends its power to the wheels through either a six-speed manual gearbox or a DSG dual-clutch automatic transmission, both available regardless of trim level.
期待される販売台数からDSGになっているのか、入力トルクの問題でDSGを選んでいるのか、まったくの不明でありますが、日常領域でのドライバビリティ的な面からいっても、ディーゼルの低速トルクであれば、トルコンによるトルク増幅効果がなくとも商品性に問題ないという判断もなくはないのだろうな、と思う次第。

すなわち発進トルクの余裕のあるディーゼルや、GTIなどのハイパワー系ガソリンターボにはトランスミッションの効率やダイレクト感に有利なDSG、エフィシェンシー寄りの小排気量ガソリンターボにはトルコンを使ったステップATという組み合わせがベターといえるのかも。


だとすれば、日本市場においても小排気量ダウンサイジングガソリンターボにトルコンを使うステップATを組み合わせる方が、いわゆる国産車に乗っている層にアピールできて、市場シェアを拡大するには有効であろうと思うのですが、さて?

精進します。














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熟成進むホンダi-DCD。ならばシャトルの評価ポイントは?

ホンダ・グレイスで感じたスムースな駆動系はフィットにも! というエントリをあげたこともありましたが、このところ乗ったフィットやグレイスで感じたホンダのi-DCD(6速DCTベースのワンモーター7速ハイブリッド)のスムースネスを考えると、おそらく同じか、それ以上のマイルドな変速感に仕上がっていることが期待できるわけでありまして。

4150417_003H
初期にはダイレクトなフィーリングが、DCTベースのハイブリッドシステムらしさと感じた面もありましたが、スポーツ走行でのムードアップというファクターは別として、基本的には快適性、燃費、速さ、いずれの視点からも変速ショックがないに越したことはないわけでして。

そもそもDCTはトルク切れがないのが美点でありますし(汗)

もちろん、シフトアップ時には回転がドロップするので、CVTのようなスムースネスは期待できないにせよ、であります。





 
話が逸れました。

DCTのトランスミッションとしての美点を引き出しつつ、そこにモーターを組み合わせたトータル駆動トルクとしてのスムースさを磨いてきたi-DCDは加速時のG変化がだいぶ落ち着いた印象もあり。そうなると、レジャーユースでフル乗車の、わいわいとしたキャビンの雰囲気を高める効果も期待できそう。

1.5リッター+モーターの余裕というのも、フル乗車・フル積載ではメリットになってくるでしょうから。

その意味で、「シャトル」というニューモデルにおいては、日常使いでは燃費を期待できるハイブリッドであり、レジャー使いではトルクの余裕につながるハイブリッドであり、といった二面的なキャラクターを評価軸に置くべきなのかもしれないと思うのであります、ハイ。

同じようなパワートレインであっても、車種カテゴリーや狙いによって評価軸は変わるべきでしょうし、そうした変化に最小限の調整で対応できることが、いまどきのグローバル・パワートレインに求められる素性のなのかもしれない、と思う今日このごろ。

2015-03-11-13-04-56


精進します。











フォルクスワーゲンの前進10段DSGは横置き7速同等サイズ

最初にテキストベースの発表にてフォルクスワーゲンが10速DSGを発表、入力トルク550Nmという情報に触れた際には、その入力トルクからしてパワートレイン縦置きのSUV向けのDCTかと思ったものですが、そういえば、横置きレイアウトのトランスミッションだったのでした。

新しい10速DSGの型式は『DQ511』。

その画像として発表されているのがこちら。

VW_10-speed DSG_DQ511

たしかに、考えてみればMQBという横置きプラットホームのモジュール設計を進めているフォルクスワーゲングループが縦置きのトランスミッションを作る必然性は薄く、横置きのディーゼルターボ用あたりをイメージして考えるべきだったのでありました(汗)
10-speed DSG
A highlight among the new dual-clutch gearboxes is the DQ511 – it is the first Volkswagen DSG to feature ten forward gears. In terms of its mechanical design, this 10-speed DSG is an advanced development of the 7-speed DSG with the internal designation DQ500. Both gearboxes are designed for peak torques of 550 Nm. Despite the addition of three gears, the 10-speed DSG is just as compact as its counterpart with seven gears. One goal in developing the new DSG was to design it for use in the modular transverse matrix (MQB) – a technical platform that is already used for the Golf and the Passat today.

Reversing the power flow within the gearbox was enabled without additional pairs of gearwheels by employing an entirely new shifting strategy and adding two shifting elements and a reversing wheel. This enables the implementation of ten progressively stepped gears. Gearbox developers were able to further improve drive-off performance thanks to the short ratios of the low gears. During acceleration, the finely graduated steps of gears 3 through 9 enable efficiency gains. The tenth gear's long gear ratio reduces revs significantly with an associated potential for CO2 reduction. Along with the ten "load-shifting" gears, the DQ511 also makes it possible to integrate additional driving levels for implementing special functions – such as a "crawler gear" or a special long "super overdrive". Compared to the DQ500, the system efficiency of the DQ511 was further improved by special coatings on the gearwheels, low-friction bearings and a specially developed low-friction oil. Like all of the latest generation DSG units, the DQ511 enables the "coasting engine off function" as well; during coasting phases it decouples the engine from the gearbox and shuts the engine off.
リリース文の後半には、低抵抗タイプのベアリング、ミッションオイルを使い、また惰性で走るコースティングモードではエンジンとミッションを切り離して、エンジンを停止させるということも書いてあります。

そして、肝心のサイズアップせずに3速分を増やした部分へ言及しているのが中盤あたりの一文。

あらためて抜き出すと ”Reversing the power flow within the gearbox was enabled without additional pairs of gearwheels ” が、この10速DSGの技術的トピックスでありましょう。

ワークショップにも参加していなければ、公式発表も、この短いリリースしか触れていないので、想像の域を出ないのではありますが、ギアセットを追加していないということは、低めのギアのトルクフローを逆転させることで、ハイギアとして変速させることを可能にした、ということでしょうか?

すなわち、メインギアとカウンターギアの関係を逆転させる何らかの要素を追加することで、ギアセットを増やすことなく3速分の変速比を増やしたというのが、いまのところ自分が勝手に想像している仕組み。

実際の組み合わせは別として、たとえば33歯と17歯のギアセットに対して、そのままトルクを流したときには、1.941の2速として使い、フローを逆転させると、0.515の9速として利用するといったイメージですが、さて?

DCTの多段化というのは、ギアセットが増えてしまうので、重量増につながるというウィークポイントがあり、それは拙ブログでも指摘してきたのですが、こうしたアイデアを盛り込めば、たしかに重量を増やさずに、レシオカバレッジを広げ、ステップ比も適切な範囲にすることが可能になりそうではあります。


ちなみに、リリースにあるベースとなった7速DSG『DQ500』の画像(2010年発表)はコチラ。画像の向きが異なるので比較しづらい部分もありますが、発表にあるように”ほぼ同じ大きさ”かどうかわかりづらいところでもありますけれど……。
VW_DQ500-2011

ちゃんとリサーチしないといけない案件なのですが、ついつい放置しておりました。そして、もっともっと調査したい案件でもあります(汗)

精進します。










フォルクスワーゲンが10速DSGを発表、入力トルク550Nm

フォルクスワーゲンがイノベーションワークショップ2014にて「10速DSG」について言及した模様。 

リリースからはギア段数とトルク値(おそらく入力トルク)がアナウンスされているのみ、であります。

もはや常識ではありますが、DCT系の弱点はレシカバ(レシオカバレージ:変速比幅)を拡大、それに伴ってギア数を増やしたときの重量増でありまして、その点において遊星歯車を使ったステップATが優勢というのが昨今の情勢。

果たして、どのような勝算があってVW(グループ)が10速DSGを投入するのか、興味津々なのでありました。

VW_beetle_7dsg

というわけで、イメージ画像はDSGのボトムとなる7速タイプのイラストでありますが、10速ともなるとどんな構造なのかも気になるのです。重くなるのはもちろん、現在の構造の発展ではミッションが長くなってしまうでしょうから。

しかしながら、DCTという一般名称は「デュアル・クラッチ・トランスミッション」の頭文字をとったものですが、フォルクスワーゲンのDSGは「ダイレクト・シフト・ギアボックス」の略称であり、デュアルクラッチである必要はないわけで。

すなわち、現在の3軸式ではなく、ギアセットを3つの軸に振り分けた4軸式というのもあり得るのかどうか。

たとえば、エンジンとの接続にはトルコンを使い、各ギアのアウター側に多板クラッチを用いるといったホンダ(アキュラ)が採用しているようなアイデアであれば、四軸も可能では?

とはいえ、550Nmという入力トルクの想定からするとSUV系の縦置きパワートレイン向けとも考えられるので、その場合は縦に長くなってもノープロブレムなのではありましょう(汗)
 

精進します。





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