クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

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CO2

日本自動車工業会のカーボンニュートラルDATA集は必見!

カーボンニュートラルを目指すのなら現状把握が重要というわけで自工会が各種データを整理した!

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先日の会長会見において、「2050年カーボンニュートラル実現のために選択肢を狭めることなく、様々な方法を検討していくべきだ」と主張した日本自動車工業会。ただ発言するだけでは情報発信として足りないと考えたのか、カーボンニュートラル データ集なるページを作成しております。

たとえば、『⽇本・海外のエネルギー状況』という項目をクリックすると、日本と欧州・米国・中国の発電比率やコストを比較した数字がならび、さらにEVとHEVの普及率なども同時に記されているといった具合。

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たしかに、この数字を見ると日本は再エネ発電のコストが高いことがわかります(その原因が2011年にあったことも知られているでしょう)し、さらにHEVの比率が高く、もしカーボンニュートラル燃料(e-fuel)を使うことでHEVの環境負荷をBEV並みにできるとなれば、日本においてはe-fuleを普及させることがカーボンニュートラルへの近道というのも理解できるところ。もっとも、それはこうした特殊事情に最適化したソリューションであり、世界とは異なる対策をすることが結果的に遠回りになるかもしれませんが…。

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ポルシェ・カイエンGTSがV8リターン、ダウンサイジング指向の終わりの始まり?

排気量も、気筒数も増やしたカイエンGTS。その背景にはピュアEV「タイカン」の存在がある?

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ポルシェジャパンがカイエンGTSの価格を発表。そのニュースリリースのタイトルは『8気筒エンジンを再び搭載。新型カイエンGTSモデル』となっておりました。
先代カイエンGTSには3.6リッターV6ツインターボエンジンが搭載されていましたが、このニューモデルでは再びV8エンジンが採用されました。最高出力338 kW(460 PS)、最大トルク620 Nmを発生する4リッターツインターボエンジンは、あらゆる面でパフォーマンスを大幅に向上させています。
というわけで、ダウンサイジングもレスシリンダーも否定するかのようなポルシェのモデル進化であります。個人的に、ポルシェの戦略というのはトレンドをつくると感じている部分もあり、今回のカイエンGTSにおけるパワートレインの選択は、もはやプレミアムクラスではダウンサイジング・トレンドは終了したということを意味しているのでは? と思うのでした。

もちろん、単純にダウンサイジングやレスシリンダーを否定して、「CO2排出制限なんか無視するぜ」という意味でないことも明らか。ポルシェというのはインテリジェンスなイメージのブランドでもありますから、そうした乱暴な考え方は似合いませんから。では、ロジックとしてダウンサイジングを終了するにはどんな背景があり得るのか。そうした点について考察した動画をYouTubeにアップさせていただきました。

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アウディのCO2ニュートラル・ディーゼル燃料は電気の溜め方の一つ

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アウディが「e-ディーゼル」なるCO2ニュートラル燃料の提案ですが、これ単体で幅広く使うには筋悪な印象あり。


ただし、それはエネルギーソースとして、電気分解などにより軽油を作るという部分での筋悪であって、仮に『車両は普及している内燃機関(クリーンディーゼル)車そのままに、燃料の部分にだけコストをかけることでCO2ニュートラルが実現できる』と理解すると、特定エリアのCO2ニュートラルを実現する方法としてローコストなのかも、と思うのでありました。

むしろ、電気分解などにより燃料を作るというのは、電気の溜め方としてのバリエーションの一つ。いわゆる水を電気分解して純水素を作って、それで発電する燃料電池車と比較してのコストを見てみるとおもしろそう。

だから電気自動車と燃料電池車、そしてアウディのe-ディーゼルなどはライバルというよりは、電気の溜め方が異なるだけで、基本的には同じ動力源(電気)を使うモビリティのカテゴリーという見方をしてしまうのでありました。


などとも、思うのでありました。


精進します。





ガソリンと軽油の発熱量と二酸化炭素排出量

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クルマについての知識があるひとにとっては「ディーゼルエンジンは二酸化炭素排出量も少ない」のはもはや常識となっている感もあります。そのせいか「ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない」と単純化しているケースも見受けられますが、はたしてそうでしょうか? じつはディーゼルとガソリンの燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できないので、こうした誤解めいた話が広まっているのは不思議。

まず燃費が優れるという点について。

実際に燃費(燃料消費率)でいえば軽油をつかうディーゼルエンジンは明らかに優れています。たとえば国産車として唯一のクリーンディーゼルであるエクストレイルで比較すると、ガソリンが13.2km/L で ディーゼルが15.2km/L。

もちろんディーゼルサイクルの効率の良さが効いているわけですが、消費燃料でいうと元々の燃料が持つエネルギーの違いも無視できません。

簡単にいうと同じ容積(1リッター)あたりの熱量が大きい燃料を使えば、同じような走らせ方をしたときの燃費に優れるのは当たり前の話。

しかも、その発熱量が炭素を元にしたものであれば、熱量が多いほどにCO2は増えるわけです。だからこそ『燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できない』のであります。

たとえば石油系の液体燃料の1リッターあたりの発熱量は以下の通り。

ガソリン=34.6MJ
軽油=38.2MJ
灯油=36.7MJ
ジェット燃料=36.7MJ
A重油=39.1MJ
C重油=41.7MJ
潤滑油=40.2MJ
【参考資料:資源エネルギー庁 エネルギー別発熱量表】

石油系ということは炭化水素。そして発熱量の大きさは炭素成分の多さを示しています。つまり発熱量≒二酸化炭素排出量といえるのです。

では、ガソリンと軽油の二酸化炭素排出量は?

ガソリンが2322gCO2/L

軽油が2624gCO2/L。


ここから軽油の二酸化炭素排出量はガソリンの約13%増し、ということがわかります。簡単にいうと1割以上燃費(燃料消費率)がよくないとディーゼルのほうが二酸化炭素排出量は少ないとはいえない、のです。

再びエクストレイルを例にあげて燃費と二酸化炭素排出量の数字を並べれば、以下の通り。

ガソリンが13.2km/L(176g-CO2/km)
ディーゼルが15.2km/L(172g-CO2/km)

燃費の差ほど二酸化炭素の排出量は変わらないのでありました。それでもディーゼルのほうが少ないですが。


つまりクルマが使っている燃料だけから見るとディーゼルとガソリンの二酸化炭素排出量を比べるには燃費の数字だけではダメ。消費燃料に二酸化炭素排出係数を掛けて計算しないといけないわけです。


とまあ、ここまではクルマ単体での燃料消費における話。いわゆる「Tank to Wheel」での二酸化炭素排出量については、ガソリンに対してディーゼルのほうが1割以上燃費がよくなければ少ないとはいえない、ということです。


しかし、話はこれだけでは終わりません。

「Tank to Wheel」=「燃料タンクからタイヤを回すまで」よりも話の大きな「Well to Wheel」=「井戸(産油)からタイヤを回すまで」というスケールで考えるべし、という見方もあります。環境問題的には、むしろコチラのほうが主流といえるでしょう。

たとえば国土交通省のデータによれば「Well to Wheel」での単位発熱量あたりのCO2発生量は ガソリンが78.4kg-co2/GJ 軽油が73.9kg-co2/GJ となっています。


それぞれ、ガソリン=34.6MJ 軽油=38.2MJ という数字から リッターあたりに換算すると ガソリンが2712gCO2/L 軽油が2823gCO2/Lとなります。

というわけで、「Well to Wheel」で考えると、軽油0.96Lとガソリン1Lの排出する二酸化炭素が同等だから、燃費でいえばほぼ数字通りに二酸化炭素排出量が変わってくるといえるわけです。であれば、サイクル理論的に燃費性能に優れるディーゼルは二酸化炭素排出的には優等生といえましょう。

ですが、原油から軽油だけを製造できるわけではありません。

ガソリンも同時に”精製”されることを考えると製造時の発生量を考えるのはフェアでないと思う次第。蒸留で分離しなければ軽油も出来てこないわけですから。もっともガソリンは蒸留後の処理が多いことで製造時の二酸化炭素排出量が増えているのではありますけれど。

ちなみに、上のイラストにもあるように、当たり前ですが原油の精製以外での採掘や輸送での二酸化炭素排出量はガソリンと軽油で同じ。なお単位を変えて製造時の二酸化炭素排出量を示せばガソリンが293.3gCO2/L 軽油が160.3gCO2/L となります(JARIによるデータ)。

というわけで、冒頭に記したように『ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない』というのは、「Well to Wheel」で考えると、結果としては間違ってはいないのですが、果たして製造時での違いまで考えての発言なのか、その点に疑問を感じる今日この頃なのでありました。

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