クルマのミライNEWS : 9HP

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9HP

2015年12月11日11:30

新型NSXの9速DCT、驚きのレシオカバレッジ6.05

カテゴリ: 新車; トランスミッション

2017_Acura_NSX___067___Rear_Direct_Drive_Motor_Packaging

Type 9-Speed Dual Clutch Transmission (9DCT)
Gear Ratio
1st 3.838
2nd 2.433
3rd 1.778
4th 1.428
5th 1.211
6th 1.038
7th 0.881
8th 0.747
9th 0.634

いろいろあって、新型NSXのスペック表（北米仕様）を見ていて、いまさらながら驚いたのは、そのギアレシオ。

9速DCTを採用しているとあって、全体にワイドなレシオカバレッジ（変速比幅）で上のギアはツーリングモードなのかとおもいきや、レシオカバレッジは6.05といまどきにしてはタイトで、それを9速で割っているわけですから、おそらく乗っているとクロスした感覚を味わえるのでは？

ちなみに、9速AT（トルコンステップAT）の雄といえるZFの9HPはレシオカバレッジ9.81で、実際に運転しても各ギアがかなり離れている感触。それとNSXの9速DCTを比べると、9HPにおける1～6速を9ステップに割ったのがNSXという感じであります。同じ9速といっても、目的は別物で、かなーり異なるキャラだと感じるのでありました。

参考リンク
http://hondanews.com/releases/2017-acura-nsx-technical-introduction

とはいえ、まだデビュー前のNSX。登場しても、しばらくは動かす機会などないでしょうから、この辺りを体感するまでには、まだまだ時間がかかりそうなのでもありました（汗）

精進します。

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タグ：: #NSX; #9HP; #DCT

2014年03月09日12:37

多段だからといってクロスレシオではないZFの9速AT

カテゴリ: トランスミッション

2013年秋の東京モーターショーでも注目したZFの9速AT「9HP」でありますが、その9段というステップから、かなりのクロスレシオと思われている節もあるよう。

その先入観なのか、「クロスしたギア比のおかげでシフトアップ時の回転落ちも少なく、加速が気持ちイイ」という声もあるようですが、その評価こはちょっと疑問あり。

乗ったこともないので、あくまで評価に対する疑問ではなく（全体としてクロスして感じるように作り込まれている可能性を否定するものではなく）、数字ベースでの疑問。

というのも、ZF・9HPのステップ比を見ると、それほど接近しているように見えないのです。

こちら、ステップ比と変速比幅などを示したスペック表。

ちなみに、ジヤトコ製の日産FR系に使われている7AT（JR710E/JR711E）で同様にスペックを見ると以下の通り。

JATCO 7AT
ギア比
1st 4.783
2nd 3.102
3rd 1.984
4th 1.371
5th 1.000
6th 0.870
7th 0.775

ステップ比
1-2 1.54
2-3 1.56
3-4 1.45
4-5 1.37
5-6 1.15
6-7 1.12

変速比幅
6.17

もちろん、ファイナルのギア比次第ではクロス感は出てくると思いますが、少なくとも「クロスした9速トランスミッション」という表現には違和感を覚える今日このごろなのでありました。

そもそも全体の変速比幅（1速を9速の数値で割ったもの）が9.81と5速ATの倍以上といえる広さで、むしろ9HPのステップ比は、離れているくらいの印象。

フタ世代くらい前の5速ATの変速比幅が4.2～4.5くらいだと考えると、9HPは5速ATをふたつ足したくらいの変速比幅を9速でカバーしているのですから、ステップ比が離れているように思えるのは、当然なのかもしれません……こんな大雑把な理解でOKかどうかの疑問もありますが（汗）

タグ：: #ZF; #9HP; #変速比幅

2013年11月24日14:26

ZFの9HP・AWDは前輪駆動時にけっしてプロペラシャフトを回さない？！

カテゴリ

東京モーターショー、西ホールの端にあるZFのブースでは、中央にご自慢の駆動系パーツがドーンと展示されておりました。それが、業界的には話題騒然の9HP（遊星歯車の9速ステップAT）と、9HPを使ったAWDシステム。以前のエントリでも触れたように、軽くて、変速比幅の広いという理想的なミッションのカットモデルや中身が見れるとあれば、見逃すわけにはいきません。思わず長居をした次第。

で、気になったのは9HPをベースにしたAWDシステムの、フロント取り出し部分とリアデフのカットモデル。

展示されているのは市販そのもの。レンジローバー・イヴォークの「4WDアクティブライン」の肝となるユニットだそうであります。

ポイントは燃費性能のために、通常走行（前輪駆動）時にはリアへの駆動を完全に切り離すという点。その性能をアピールする部分がカットモデルにて紹介されておりまして、じっくりを拝見してきた次第。

まずはフロントから。

9HPの脇に置かれた取り出しユニットには、まるでMTの一速分だけを移植したようなガチャンと嵌めるユニットが。クラッチによる駆動の切り離しではなく、機械的に接続を行なうことで、ロスを減らしている模様。

そして、リアには多板クラッチ。

そして、説明によれば、この多板クラッチは、タイヤからの入力トルクを切り離すためなのだとか。つまり、前輪駆動時にリアタイヤがプロペラシャフトを回すことで生じるメカニカルロスをなくすためだけに、この多板クラッチは存在しているというわけ。

そんな贅沢、ホンマかいな？と確認したところ、たしかに駆動コントロールには使っていないとのこと。

だとすると、可変型の前後駆動配分は存在しないことになるので、このシステムは直結四駆と前輪駆動を切り替えながら（おそらく、かなりのレスポンスで可能）最適なトラクション性能を出しているのでしょう、おそらく。

レンジローバー向けのシステムだけあって、走破性を高める直結四駆かつ省燃費という要求性能を満たすために、コストよりも理想を追求したシステムになっているユニットといえそう。いやはや、さすがです（汗）

タグ：: #9HP; #レンジローバー; #ZF; #東京モーターショー

2013年05月05日14:15

ステップAT、CVT、MT、DCTの重量比較メモ

カテゴリ: トランスミッション

山本晋也　【Yamamotosinya】@Ysplanning
重量面で考えると、10速（10個のギアセット）を持つ10段DCTよりも、副変速機付き5段DCTにしたほうがいいような。そうなるとDCTにする必要もなくなるので、副変速機付き5段AMTにしたほうが軽くできるかも。
2013/05/01 10:22:40

ZFの9速ATに刺激されたのか、各国のメーカー＆サプライヤーで変速機の多段化が進んでおります。そんな状況を見て、ふとつぶやいたのが上のポストですが、日系メーカー＆サプライヤーは、多段化の果ての無段化を想定してCVTのレシオカバレージ（変速比幅）の拡大と減量と伝達効率改善を推めているというのが一般的な捉え方。そもそもエンジンと変速機の協調制御はいまや大前提ですから変速機単体での効率で優劣を語る時期はとうに過ぎているともいえます。そのあたりの話は別の機会に。

さて、ZF 9速AT『9HP』は、ともかく軽くてコンパクトなのが衝撃的。まずは現状で使われているそれぞれの変速機について重量を整理してみようかと。

まずは、最新・最良といえるZF『9HP』のデータをベンチマークとして。

入力トルクで2種類が用意される『9HP』、オイルを入れた状態で78kg、86kgとなっております。

と、これだけ見ても比較対象がなければどれだけ軽いのかわかりづらいので、以下にアイシンのMT・AT・CVTの重量を並べてみます（少々古い機種となります、あしからず）。『9HP』に合わせて、いずれも横置き用で。

6速MT『BG6』　62.9kg

6速ステップAT『TF-60SN』　82kg

リッターカー用CVT『XA-10LN』　59kg

一般的には重いとされているCVTが軽量なのは、入力トルクの小さいユニットのため。なお、それぞれ乾燥重量なのかどうか不明なので、細かく比較はできないのですが、大雑把なメモということでご容赦くださいませ。

で、10速DSGを開発すると話題になっていたフォルクスワーゲン。そのDSG（一般名詞で呼ぶとDCT）は、これが意外に重いのであります。DSGにはトルク容量の小さな7速と、入力トルクの大きな6速が用意されておりますが、その重量は以下の通り。

7速DSG　70kg

6速DSG　93kg

ギア数に比例して重くなるとはいいませんが、ZFの9速ステップATは4個の遊星ギアによって構成されているのに対して、DSGの場合はギア数と同じだけのギアセットが必要になるので、段数を増やすことは重量増につながります。

それを心配して、つぶやいたのが冒頭のポスト。仮にZF『9HP48』（入力トルク480Nm）に対抗して高容量10速DSGを作ろうとすると6速で93kgもあるので、どうやっても100kgは超えてしまうでしょうから。そもそも6速DSGが9速ATよりも重くなっているので、まずは素材置換や設計による軽量化、それもかなり大掛かりな手法が必要という印象。とはいえ、ギアの素材を軽いものへ置換するというのは、かなり難しいでしょう。

そこで、ふと思いついたのが5速DSGの出口に副変速機を置いてしまうパターン。単純にギア数でいうと、前進7段と同じになるので、トルク容量の小さな7速DSGをベースに考えれば、副変速機の切り替えクラッチの重量増で済みそう。つまり、素材置換をせずともZF『9HP28』の78kgと”いい勝負”ができるかも？というのが、理由でした。素人考えなので、見当違いなことを書いていたらお恥ずかしいのですが（汗）

●参考リンク
http://www.zf.com/corporate/en/products/innovations/9hp_automatic_transmission/9hp_automatic_transmission.html

http://www.volkswagenag.com/content/vwcorp/info_center/en/themes/2008/01/the_7speed_dsg.html

http://www.aisin.co.jp/pickup/com/product/list.php?mode=dft&category=2&page=3

タグ：: #CVT; #DCT; #AT; #9HP; #ZF

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