クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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空燃比

マツダが究極ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」の存在を明かす。

SKYACTIV-Zエンジンに採用される「ラムダワン燃焼」とは何のこと?


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マツダが2025年3月期 第2四半期決算を発表、そのプレゼンテーションにおいてSKYACTIV-Zガソリンエンジンを開発していると明示したことが話題となっています。その部分での発言を以下に引用してみましょう。
•SKYACTIV-GやXの後継である新型4気筒エンジンSKYACTIV-Zエンジンを開発中です。
•将来は直列6気筒エンジンにも、この新型エンジンの燃焼技術を移植して環境性能を高めてまいります。
•エンジンは選択と集中を行い、種類数全体は段階を追って集約を進め、大幅な効率化を図る計画です。
•このSKYACTIV-Zエンジンは、理論燃焼であるラムダワン燃焼を使い、低回転から高回転まで広いレンジでスーパーリーンバーン燃焼を実現することで高い熱効率を実現し、優れた環境性能と走行性能を提供できます。
•欧州ユーロ7や米国LEV4・Tier4などの厳しい環境規制に適合できるこのエンジンを2027年中の市場投入を目指して進めていきます。
アルファベットの最後が「Z」であることは言うまでありません。つまり”SKYACTIV-Z”は最後のガソリンエンジンであり、究極のガソリンエンジンであることを予感させるネーミングです。

そのコア技術となるのが「ラムダワン燃焼」であり、ワイドレンジでの「スーパーリーンバーン燃焼」であることが、決算発表プレゼンテーションで明らかにされたわけです。

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軽油の理論空燃比を計算してみる



さきほどアップした理論空燃比でNOxは発生しないというエントリで、ガソリンエンジンの理論空燃比において、完全燃焼していることを書きました。つまりガソリンに含まれる炭素&水素と空気中の酸素が余ることなく反応する質量比が理論空燃比ということです。

では、軽油をつかうディーゼルエンジンの場合、理論空燃比はどんな数値になるのでしょうか。実際にはリーンバーンですから、まさに机上の空論というか、役に立たない情報ですが、せっかく単純化した数値を用意したので計算してみます。

前回のエントリでは、軽油を単純な炭化水素としてC1634だと定義しました。

ここから理論空燃比を導くには、まず軽油1ユニットから二酸化炭素と水がどれだけ生まれるかを考えればいいわけです。

ざっと 16CO2 と 17H2Oが生まれることになります。ここで必要な酸素原子の数は49。ただ、空気中では酸素分子として存在するので、二倍した98から空気のユニット数を計算します。空気中の酸素比率は21%としていますから

98÷0.21≒466.6 これが空気のユニット数となります。

つづいて、空気質量を燃料質量で割ります。空気のユニット数を倍掛けしていますから、燃料の質量も二倍として計算します。

(29×466.6)÷452≒14.9

というわけで、ディーゼルの理論空燃比は14.9という計算になりました。

しかし、ガソリンにしろ軽油にしろ、(C12nの炭化水素のバリエーションだと考えると、こんな計算には何の意味もないわけで。石油由来の燃料をつかうエンジンの理論空燃比は、燃料に関わらず14.5~14.7と覚えておくのが基本でしょう。


理論空燃比とは何のこと?

省燃費やパワーアップなどエンジン制御の話題となると、かならず「空燃比」という言葉が出てきます。

空燃比とは「空気と燃料の質量比」のことで、つまりシリンダー内における混合気の重量比を示したもの。

アルファベットでA/Fと表示することからもわかるように、空気の重量を燃料の重量で割った数値であり、その理論空燃比は14.5~14.7とされています。言い方を変えると「空気過剰率が1の状態」でもあるのですが、余計に難しくなってしまうでしょうか?

さて、ここまではクルマ好きであれば聞いたことがあるでしょうが、ちょうどエアポケットのように仕事がなく、時間があるので、なぜ理論空燃比が14.6近辺にあるのかを確認してみます。

まず、その前に各種条件を示さなければいけません。(なお計算しやすいように基本的に整数にしていることをご了承ください

●原子量(重量)
N(窒素):14
O(酸素):16
H(水素):1
C(炭素):12
Ar(アルゴン):40

●組成など
ガソリン:C612
軽油:C1634
(それぞれ添加剤などもありますが、計算しやすいよう単純な炭化水素としています)

空気:N2 78%+O2 21%+Ar 1%(CO2ほかのガスは少量なので無視することとします)


空燃比とは重量比ですから、原子量をもとにそれぞれの重量を計算します。

ガソリン=12×6+12=84

軽油=12×16+34=226

空気(平均)=(28×78+32×21+40)÷100≒29

ようやく、空燃比の基本となる質量までたどり着きました。

まだまだ長くなりそうなので、続きは次のエントリで。




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空燃比を容積で比べてみると

というわけで、前回のエントリーのつづき。

空燃比をガソリン14:1、エタノール9:1としてガソリンの混合気における割合は1/15≒6.7%、エタノールの混合気における割合は1/10=10.0%となります。

だから同一エンジンのシリンダー内に吸い込んだときであればエタノールの量はガソリンの1.5倍となると思われるわけです。ただシリンダーに吸い込むということは容積で比較しなければいけません(空燃比は重量比です)。そこで上の空燃比に比重をかけて容積比として計算してみましょう。比重といっても液体と気体と状態によって比較対象が異なりますが、ここでは混合が対象ですから気体としての比重(蒸気比重)のデータを使用します。なお以下の数値は摂氏15度でのデータですが、とりあえずこの数値で再計算してみましょう。

蒸気比重はガソリン:3.4、エタノール:1.59ですから、この数値を空燃比に適用した容積ベースでの空燃比はガソリンが49.98 エタノールが14.31となります。
これまた計算しやすいようにそれぞれの数値を整数として、ガソリンを49:1、エタノールを14:1としてみます。ここから容積ベースでの燃料の含有率を導くとガソリンが2.0%、エタノールが6.7%となります。

つまり理論空燃比の混合気でいえばエタノールはガソリンの約3.3倍となるわけです。発熱量をカバーするには十分すぎる数値といえそうです。

ただ、これで結論というわけじゃなくて……。話はさらに続きます。

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