クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

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気候変動

平均気温が史上最高となった7月、エブリイの燃費は落ち込んだ

エアコンがフル稼働だった史上最熱の7月、平均燃費はモード値の88%まで落ち込んだ

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毎月のルーティンといえるスズキ・エブリイバンの月間燃費を報告するエントリであります。

結論からいえば、久しぶりにモード燃費を下回る15.1km/Lとなりました。その理由は言わずもがな、命の危機を感じるほどの暑さ対応としてエアコンがフル稼働状態となり、そのぶん燃料消費量が増えてしまったからであります。報道によれば7月の平均気温としては観測史上最高だったということで致し方なし、といったところでしょうか。

なお、毎度掲載しているカタログ燃費値と過去の月間平均燃費は以下の通り。
WLTCモード 17.0 km/L
 〃市街地モード 15.4 km/L
 〃郊外モード 18.0 km/L
 〃高速道路モード 17.1 km/L
JC08モード 18.7 km/L

●月間平均燃費データ
2022年4月:18.7km/L
2022年5月:17.9km/L
2022年6月:18.3km/L
2022年7月:15.3km/L
2022年8月:16.9km/L
2022年9月:17.2km/L
2022年10月:18.1km/L
2022年11月:17.5km/L
2022年12月:15.9km/L
2023年1月:17.7km/L
2023年2月:17.5km/L 
2023年3月:19.8km/L
2023年4月:18.6km/L
2023年5月:18.0km/L
2023年6月:17.7km/L

WLTCモード燃費17.0km/Lを下回ったのは今年初ですが、命あっての物種ともいいますし、エアコンフル稼働で燃費が多少悪化するくらいは許容すべきなのかもしれません。
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新型コロナウイルスの感染拡大を環境対応の糧とするのが人類の賢さ

テレワークで移動を減らしても回せる業務が確認できた

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新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのロックダウンなど経済封鎖によって、とくに航空関係は壊滅的な打撃といえる影響を受けているようですが、おそらくその流れが変わることはないだろうと予想。仮に趣味としての旅行を楽しむ層が減らないとしても、ビジネスでの移動は大きく減ると考えられるから。

なにしろ、今回の対応としてテレカンが当たり前になって、たしかにリアルなフェイスtoフェイスの必要性がゼロではないにしても、移動せずにミーティングできるのであればそのほうがコスト的に有利なわけで、企業が不要な出張費を抑えようという流れになるのは止められないと思うわけです。今回の対応によって企業の中でもテレカンやテレワークで、どんな業務であれば問題なく遂行できるのかといったノウハウも一気に溜まったでしょうから。

そうして移動が減れば、モビリティ由来のCO2排出量も減るわけで気候変動対策にもなりますから、社会的には一石二鳥といえるかもしれません(航空関係を除く)。とはいえ、人が生きていくためには物流は必要なので、人の移動は減ったとしても物を運ぶことはなくならないわけですが……。

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CO2排出量の制限と経済発展を両立させるCO2処理というアプローチ

新たに出したCO2を確実に処理できれば、いくらでも排出できる?
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パリ協定からのCO2排出量削減という課題に対して、少なくとも自動車業界としては電動化を進めているものの…といった状況でありましたが、国連気候変動サミットにおけるグレタ・トゥーンベリ氏の鬼気迫る演説によって、あらためて気候変動への対応が急がれるというムードになっております。CO2排出と気候変動の関係についての議論は置いておくとして、ひとまずCO2排出量を削減し、大気中のCO2濃度を下げなくてはならないとすると、ほとんど経済活動ができなくなる(結果的に人間を減らすしかない)という話もあるようです。しかし、それは対策としては下の下でしょう。経済活動と環境対応を同時に行なう方法はないものでしょうか。

たとえばCCS(Carbon dioxide Capture and Storage 二酸化炭素回収貯留)というテクノロジーがあり。発電所や工場の煙突から排出されるCO2を、その段階で捕まえ大気放出することなく、なんらかの方法で貯め込んでおくというものであり、コストを無視すれば実現可能な技術。当然、コスト(投入エネルギー)が現実的なレベルでなければ普及しないでしょうし、環境対策として有効にならないわけですが、少なくとも排出段階でCO2をあらかた捕捉できるとすれば、経済活動と環境対応は両立する可能性が高まるわけです。

さらにいえば、CO2を貯留するのではなく炭化水素燃料としてリサイクルできれば(もちろんエネルギー収支があっていないと無意味ですが)さらに良しといえそう。化石燃料を使う工場で捕えたCO2を再生可能エネルギーによって燃料化して、別の用途で使うというサイクルが合理的に成立すれば、実質的には新たにCO2を排出したとはカウントせずに済みますから。
再生した燃料でクルマを走らせるというのもありかもしれませんが、それですべてのニーズを満たすというのは難しそう。自動車においては走行状態で機能するCCS的なテクノロジーを搭載するよりも、大元でCO2を捕まえてしまうほうが合理的でしょう。つまり、自動車単体として見るとCO2を出す内燃機関は消滅して、電気や水素で動くゼロエミッションビークルが中心になるであろうと考えられるわけです。



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ガソリンと軽油の発熱量と二酸化炭素排出量

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クルマについての知識があるひとにとっては「ディーゼルエンジンは二酸化炭素排出量も少ない」のはもはや常識となっている感もあります。そのせいか「ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない」と単純化しているケースも見受けられますが、はたしてそうでしょうか? じつはディーゼルとガソリンの燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できないので、こうした誤解めいた話が広まっているのは不思議。

まず燃費が優れるという点について。

実際に燃費(燃料消費率)でいえば軽油をつかうディーゼルエンジンは明らかに優れています。たとえば国産車として唯一のクリーンディーゼルであるエクストレイルで比較すると、ガソリンが13.2km/L で ディーゼルが15.2km/L。

もちろんディーゼルサイクルの効率の良さが効いているわけですが、消費燃料でいうと元々の燃料が持つエネルギーの違いも無視できません。

簡単にいうと同じ容積(1リッター)あたりの熱量が大きい燃料を使えば、同じような走らせ方をしたときの燃費に優れるのは当たり前の話。

しかも、その発熱量が炭素を元にしたものであれば、熱量が多いほどにCO2は増えるわけです。だからこそ『燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できない』のであります。

たとえば石油系の液体燃料の1リッターあたりの発熱量は以下の通り。

ガソリン=34.6MJ
軽油=38.2MJ
灯油=36.7MJ
ジェット燃料=36.7MJ
A重油=39.1MJ
C重油=41.7MJ
潤滑油=40.2MJ
【参考資料:資源エネルギー庁 エネルギー別発熱量表】

石油系ということは炭化水素。そして発熱量の大きさは炭素成分の多さを示しています。つまり発熱量≒二酸化炭素排出量といえるのです。

では、ガソリンと軽油の二酸化炭素排出量は?

ガソリンが2322gCO2/L

軽油が2624gCO2/L。


ここから軽油の二酸化炭素排出量はガソリンの約13%増し、ということがわかります。簡単にいうと1割以上燃費(燃料消費率)がよくないとディーゼルのほうが二酸化炭素排出量は少ないとはいえない、のです。

再びエクストレイルを例にあげて燃費と二酸化炭素排出量の数字を並べれば、以下の通り。

ガソリンが13.2km/L(176g-CO2/km)
ディーゼルが15.2km/L(172g-CO2/km)

燃費の差ほど二酸化炭素の排出量は変わらないのでありました。それでもディーゼルのほうが少ないですが。


つまりクルマが使っている燃料だけから見るとディーゼルとガソリンの二酸化炭素排出量を比べるには燃費の数字だけではダメ。消費燃料に二酸化炭素排出係数を掛けて計算しないといけないわけです。


とまあ、ここまではクルマ単体での燃料消費における話。いわゆる「Tank to Wheel」での二酸化炭素排出量については、ガソリンに対してディーゼルのほうが1割以上燃費がよくなければ少ないとはいえない、ということです。


しかし、話はこれだけでは終わりません。

「Tank to Wheel」=「燃料タンクからタイヤを回すまで」よりも話の大きな「Well to Wheel」=「井戸(産油)からタイヤを回すまで」というスケールで考えるべし、という見方もあります。環境問題的には、むしろコチラのほうが主流といえるでしょう。

たとえば国土交通省のデータによれば「Well to Wheel」での単位発熱量あたりのCO2発生量は ガソリンが78.4kg-co2/GJ 軽油が73.9kg-co2/GJ となっています。


それぞれ、ガソリン=34.6MJ 軽油=38.2MJ という数字から リッターあたりに換算すると ガソリンが2712gCO2/L 軽油が2823gCO2/Lとなります。

というわけで、「Well to Wheel」で考えると、軽油0.96Lとガソリン1Lの排出する二酸化炭素が同等だから、燃費でいえばほぼ数字通りに二酸化炭素排出量が変わってくるといえるわけです。であれば、サイクル理論的に燃費性能に優れるディーゼルは二酸化炭素排出的には優等生といえましょう。

ですが、原油から軽油だけを製造できるわけではありません。

ガソリンも同時に”精製”されることを考えると製造時の発生量を考えるのはフェアでないと思う次第。蒸留で分離しなければ軽油も出来てこないわけですから。もっともガソリンは蒸留後の処理が多いことで製造時の二酸化炭素排出量が増えているのではありますけれど。

ちなみに、上のイラストにもあるように、当たり前ですが原油の精製以外での採掘や輸送での二酸化炭素排出量はガソリンと軽油で同じ。なお単位を変えて製造時の二酸化炭素排出量を示せばガソリンが293.3gCO2/L 軽油が160.3gCO2/L となります(JARIによるデータ)。

というわけで、冒頭に記したように『ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない』というのは、「Well to Wheel」で考えると、結果としては間違ってはいないのですが、果たして製造時での違いまで考えての発言なのか、その点に疑問を感じる今日この頃なのでありました。

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