クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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日本

欧州でのEV比率は約25%! 世界は電気に進んでいる【ソース紹介】

2050年にカーボンニュートラルを目指すならば、ゼロエミッション車の生産能力を考えて100%電動化を達成すべきタイミングから逆算する必要がある

 

CO2排出量削減のためにモビリティの電動化を進めるというのは、その評価は別として世界的なコンセンサスになっていると感じるわけですが、一方でモビリティのフル電動化には電力供給能力をどうするのかという課題もあり。

そうした指摘からCO2排出量への対応だけでいえば現時点ではガソリンハイブリッドがベストソリューションと判断すべしというのは日本の自動車メディアは主流になっていると感じるわけですが、それとは別に考えないといけないのは、フル電動化するとして、何台のZEV(ゼロエミッションビークル)が必要で、その供給能力は年間何台規模なのかということ。

仮に8000万台の車両が必要だとして、年間の製造能力が500万台程度だとすれば、フル電動化が必須の15~16年前には市販車が100%電動化している必要があるという風に考えられるのでは? というのが、このモトブログ風の考察動画において自分が指摘しているポイントのひとつ。

すでに欧州はそうしたフェイズに入っているのに対して、日本はまだまだZEVをキワモノとして捉えているのは時代に取り残されてしまうのでは、と心配になるということも指摘させていただいております。




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日本を左ハンドル・右側通行にする難しさ

初期の自動車は欧州でも右ハンドルがスタンダードだった?

ときどき、自動車産業のグローバル化を推し進めるアイデアにひとつとして、日本の左ハンドル化(右側通行化)を提案する声を聞くことがあり。

で、それに対して戦後GHQが右側通行にしようとしたときにバスの乗降口が左側通行でしか使えないという問題があって断念したという話が出てくることも少なくありませんが、はたして理由はそれだけなのか。そして、いま右側通行にするメリットとデメリットはどの程度あるのか、とちょっと考察してみます。


まずメリット。

右側通行というか左ハンドルにすることでハンドル位置を左側だけに出来るのでグローバルな生産メリットあり! と思いがちですが、日本だけが右ハンドルならまだしも、そんなことはありません。イギリスが発祥の地となっていますが、その影響で成長著しいインドも右ハンドルだったりします。タイやマレーシアといった東南アジアやオーストラリアなどなど右ハンドルの国や地域は少なくありません。ですから、世界を左ハンドルに統一するというのは無理な話で、日本が左ハンドルにしたからといって作り手のメリットが出てくるとは思えません。実際、いろいろな指標はあれど、30%以上は右ハンドルという話もありますし。

一方で、ユーザーサイドでいえば左ハンドル主体のヨーロッパ車、アメリカ車をそのまま輸入できるようになって、売価が下がる、とメリットは期待できますが、現時点での輸入車全般の値付け、マーケティングを見ていると、その程度の生産コスト低減でどこまで価格を下げるのかは疑問。結局、メーカーのスケールメリットがそれほどなければ、売価が下がることもないだろう、と考えるのが自然かと。現地価格と日本向け価格の差は、右ハンドル化のコストアップというよりは、販売台数であったり、ブランディングであったりといった面が大きいでしょうから。

そのほか左ハンドルのほうがペダル配置が自然という意見もあるでしょうが、それはパッケージや基本設計に起因する部分が大きい問題でしょうし、2ペダル化のトレンドを考えると、ハンドル位置との関係をどうこういうタイミングでもなくなっている気がします。



では、右側通行にするデメリット。

まず思い浮かぶのは信号機や標識の配置変更。斜め前の信号を見て判断すれば運用可能かもしれませんが、それは乱暴でしょうし、一時停止線や標識については、反対側をみて運用すべし、というのはありえないところ。

また歩行者の交通ルールの基本として横断時には「右、左、右」と安全を確認するということになっているというか、かなりクセがついているでしょうが右側通行になると「左、右、左」と確認すべきという風に変わるはず。

いずれにせよ、システム変更当初の交通事故増加は否めないと予想できるところ。事故による経済損失と前述した左ハンドル化による経済メリットを比べて、後者が大きければ(命はかえっていこない、という話とは別として)、左ハンドル化へ踏み切ることもありましょうが、そこは数字が大きすぎて自分にはわかりません。


ならば、中庸案として左側通行・左ハンドルにすれば道路インフラには手を付けずに、生産メリットだけあるのでは? と思うかもしれませんが、それも疑問。


ドライバー位置と死角の問題から右折事故が増えると予想されるので。もともと自動車同士の対面通行を考えると、すれ違う側に運転席を置くというのが合理的で、それが現在の左側通行・右ハンドルにつながっている面もあるので、あえて逆にするのは、やはり事故の増加を招くのでは? つまり事故による損失と生産メリットの比較という同じ理由において検討すべきテーマになってきます。


日本においては沖縄返還における730という右側通行から左側通行への変更事例があるので、そのデータが参考になるでしょうが、さすがに日本全体を右側通行へ変えるのに沖縄が通行禁止にした8時間とい短い時間を参考にするのは非現実的でしょうし。



ところで、ドイツやフランスで製造されたという初期の自動車の写真をみると、なぜか右ハンドルばかり。聞いた話ではフォードが右側通行にあわせて左ハンドルにするまでは右側通行・右ハンドルというのがスタンダードだったといのは不思議な話であります。まあ、対向車とのすれ違いを考慮する必要もないでしょうし、交通量と運転席がむき出しという構造を考えれば死角もなかったのでしょうが(笑) 

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画像はダイムラーの製造した「4hpトラック」、1899年製だそうです。
 
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