クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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排ガス規制

スーパーカブ110が最新の法規制に合致するよう進化を遂げた

令和2年排出ガス規制とABSの装着義務に対応。メーカー希望小売価格は30万2500円

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原付二種クラスのビジネスバイクの代表格「スーパーカブ110」についにディスクブレーキが備わりました! さらにキャストホイールを採用するなど、2022年3月に実施されたモデルチェンジでは最新アップデートを押し出す進化を遂げています。

といってもフロントにディスクブレーキを採用したのは原付二種クラスにもABSが義務化されたことへの対応であるのは周知の事実でありましょう。

最高出力5.9kW、最大トルク8.8Nmの空冷単気筒エンジンも最新の排ガスレギュレーションである令和2年規制をクリアするため。なお総排気量は109cc、ボア47.0mm・ストローク63.1mmで、圧縮比は10.0となっております。トランスミッションは、おなじみクラッチレスの4速リターン式であります。


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直噴ガソリンエンジンはPM排出個数がポート噴射より桁違いに多い


直噴ガソリンエンジンのPM(パティキュレートマター)排出については、過去に問題視されてきた経緯もあり、現時点でもリーンバーンの吸着触媒を使うモデルについてはPM排出重量が規制対象になっているわけですが、そんなガソリンエンジンのPMについて国立環境研究所が2013年12月16日に発表したレポートが話題を集めているよう。

結論をいえば、ポート噴射に比べて、筒内直接噴射になるとPMの重量・個数ともに増える傾向にあるということ。現状の排ガス規制の範囲に収まっているとはいえ、桁違い多いというから無視できる話ではありません。

というわけで、レポートから結果と考察部分を引用。

結果と考察


ガソリン乗用車3車種を対象とした粒子個数と粒径分布の測定、及び粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)試料の測定・分析の結果、以下のことがわかりました。

(1)国産直噴ガソリン車からの粒子個数の排出係数は、ポート噴射ガソリン車の10倍以上でした(図1)。欧州産直噴ガソリン車は、国産直噴ガソリン車の約5倍とさらに排出個数が多くなっていました。参考までに、粒子個数の排出係数を欧州の規制値と比較すると、直噴ガソリン車(国産及び欧州産)は、2017年実施予定の規制値を上回っており、欧州産直噴ガソリン車は2014年実施予定の規制値に近い値でした。なお、どの車両も、ディーゼル車の場合に問題視されていた粒径30nm付近の、いわゆる「ナノ粒子」の排出は少ないことが確認されました。

(2)粒子重量の排出係数についても、直噴ガソリン車(国産車、欧州産車)はポート噴射ガソリン車より多いが、希薄燃焼方式の直噴ガソリン乗用車に対する国内規制値(注4)よりは低い値でした(図2)。なお、排気後処理装置のないディーゼル乗用車は、粒子重量も個数も欧州規制値(ガソリン車、2014年~)を上回っていますが、微粒子捕集フィルター(DPF)付ディーゼル乗用車では粒子重量も個数も欧州規制値(ガソリン車、2017年~)を下回っています。


リンク先にエンジンスペックが明記されているので、ほぼテスト車両の銘柄が特定できそうなものですが、国産についてはポート噴射の排気量が1348cc、直噴が1298ccとなっているので、おそらくデミオのMZRエンジンとSKYACTIV-Gの比較、輸入車は1197ccのターボといいますからフォルクスワーゲン・グループの何かでありましょう。

そのPM個数の排出係数について、レポートでは若干マイルドな表記になっておりますが、ようはポート噴射に対して、直噴ガソリンエンジンで10倍、直噴ガソリンターボで50倍の排出係数になるという話。もっともPM重量では、そこまでの差にはならないそうで、なにを基準に話をしているのか明確に把握しておかないと、おかしな批判をしてしまいそうなので注意、注意であります。

そして、この発表を見て、古くてもポート噴射のほうが排ガスがキレイとしてしまうのも早合点。テスト車はいずれも平成17年規制75%低減といいますから、排ガス記号でDBAになるモデル。そもそもクリーンな中での比較という話でもあるわけです。もちろん、PMの排出係数についてはデータがないので計測しないと、どちらが少ないのかは言えないのでもありますが。

まあ、古いクルマでメンテナンスが行き届いていないと、ガソリンエンジンでもおそらくエンジンオイル由来と思われる黒煙を吐いていたりしますから、ポート噴射だから云々とは異なる次元での話にもなりかねません。今回の結果は、そうした経年劣化によるオイル由来のPMではなく、燃料噴射システムの違いによる正常時での比較においてポート噴射より直噴のほうがPMを多く排出している(これについては現時点では事実といえましょう)ということなのです。

そして、このPM排出についてのキャンペーン次第では、ガソリンエンジンのトレンドに大きな変化があるやも。ガソリンであっても直噴エンジンにはパティキュレートフィルターが義務付けにでもなればコスト的に合わなくなるでしょう、そうなると直噴ガソリンは一気に廃れる可能性も。また、排出重量はそのままで個数を減らすために大きな粒子にする技術を開発するという方向に進むかも。まっとうな方向としては均質性の向上であったりするのでしょうか。

【追記】
直噴エンジンでPMが発生するのは、混合気が均一な状態で生成されづらく燃料の濃淡ができてしまい、その濃い部分で炭素が余り、PM発生の原因になっているといえます。


ともかく、直噴ガソリンエンジンのPM排出という課題が市場マインドにどれだけ影響を与えるのか非常に気になるところ。バッテリーの問題はありますが、ポート噴射のハイブリッドが排ガス的には環境負荷で有利ということトレンドが世界的に拡大すると、トヨタ、ホンダが長年築いてきたイメージが有利に働くことになるかも。いや、排ガスをクリーンにしても後から後から問題が出てくるとなれば、一気にZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)に進むのかもなどと思ったりもする今日このごろ。PMの主成分は炭素ということは、水素燃料にすることで発生をゼロにできますし、燃料電池や電気自動車になれば走行時のPMはゼロなのは当たり前ですから。

PMの問題が世界各国でどのような判断をされるかによっては、次世代パワートレインのトレンドが大きく変わる可能性もありそう。そんなわけで、この問題は今後も気にかけていくべきテーマになると思うのでありました。


以下、関連しそうな画像です。

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ところで、ポート噴射ながら直噴的にシリンダーにダイレクトに燃料を噴射しようとしているデュアルインジェクターのエンジン(日産やスズキ)のPMというのは、どうなのか気になりませんか?



そして、ポツリ。


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