クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

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地球温暖化

新型コロナウイルスの感染拡大を環境対応の糧とするのが人類の賢さ

テレワークで移動を減らしても回せる業務が確認できた

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新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのロックダウンなど経済封鎖によって、とくに航空関係は壊滅的な打撃といえる影響を受けているようですが、おそらくその流れが変わることはないだろうと予想。仮に趣味としての旅行を楽しむ層が減らないとしても、ビジネスでの移動は大きく減ると考えられるから。

なにしろ、今回の対応としてテレカンが当たり前になって、たしかにリアルなフェイスtoフェイスの必要性がゼロではないにしても、移動せずにミーティングできるのであればそのほうがコスト的に有利なわけで、企業が不要な出張費を抑えようという流れになるのは止められないと思うわけです。今回の対応によって企業の中でもテレカンやテレワークで、どんな業務であれば問題なく遂行できるのかといったノウハウも一気に溜まったでしょうから。

そうして移動が減れば、モビリティ由来のCO2排出量も減るわけで気候変動対策にもなりますから、社会的には一石二鳥といえるかもしれません(航空関係を除く)。とはいえ、人が生きていくためには物流は必要なので、人の移動は減ったとしても物を運ぶことはなくならないわけですが……。

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ガソリンと軽油の発熱量と二酸化炭素排出量

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クルマについての知識があるひとにとっては「ディーゼルエンジンは二酸化炭素排出量も少ない」のはもはや常識となっている感もあります。そのせいか「ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない」と単純化しているケースも見受けられますが、はたしてそうでしょうか? じつはディーゼルとガソリンの燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できないので、こうした誤解めいた話が広まっているのは不思議。

まず燃費が優れるという点について。

実際に燃費(燃料消費率)でいえば軽油をつかうディーゼルエンジンは明らかに優れています。たとえば国産車として唯一のクリーンディーゼルであるエクストレイルで比較すると、ガソリンが13.2km/L で ディーゼルが15.2km/L。

もちろんディーゼルサイクルの効率の良さが効いているわけですが、消費燃料でいうと元々の燃料が持つエネルギーの違いも無視できません。

簡単にいうと同じ容積(1リッター)あたりの熱量が大きい燃料を使えば、同じような走らせ方をしたときの燃費に優れるのは当たり前の話。

しかも、その発熱量が炭素を元にしたものであれば、熱量が多いほどにCO2は増えるわけです。だからこそ『燃料消費と二酸化炭素排出は単純に比較できない』のであります。

たとえば石油系の液体燃料の1リッターあたりの発熱量は以下の通り。

ガソリン=34.6MJ
軽油=38.2MJ
灯油=36.7MJ
ジェット燃料=36.7MJ
A重油=39.1MJ
C重油=41.7MJ
潤滑油=40.2MJ
【参考資料:資源エネルギー庁 エネルギー別発熱量表】

石油系ということは炭化水素。そして発熱量の大きさは炭素成分の多さを示しています。つまり発熱量≒二酸化炭素排出量といえるのです。

では、ガソリンと軽油の二酸化炭素排出量は?

ガソリンが2322gCO2/L

軽油が2624gCO2/L。


ここから軽油の二酸化炭素排出量はガソリンの約13%増し、ということがわかります。簡単にいうと1割以上燃費(燃料消費率)がよくないとディーゼルのほうが二酸化炭素排出量は少ないとはいえない、のです。

再びエクストレイルを例にあげて燃費と二酸化炭素排出量の数字を並べれば、以下の通り。

ガソリンが13.2km/L(176g-CO2/km)
ディーゼルが15.2km/L(172g-CO2/km)

燃費の差ほど二酸化炭素の排出量は変わらないのでありました。それでもディーゼルのほうが少ないですが。


つまりクルマが使っている燃料だけから見るとディーゼルとガソリンの二酸化炭素排出量を比べるには燃費の数字だけではダメ。消費燃料に二酸化炭素排出係数を掛けて計算しないといけないわけです。


とまあ、ここまではクルマ単体での燃料消費における話。いわゆる「Tank to Wheel」での二酸化炭素排出量については、ガソリンに対してディーゼルのほうが1割以上燃費がよくなければ少ないとはいえない、ということです。


しかし、話はこれだけでは終わりません。

「Tank to Wheel」=「燃料タンクからタイヤを回すまで」よりも話の大きな「Well to Wheel」=「井戸(産油)からタイヤを回すまで」というスケールで考えるべし、という見方もあります。環境問題的には、むしろコチラのほうが主流といえるでしょう。

たとえば国土交通省のデータによれば「Well to Wheel」での単位発熱量あたりのCO2発生量は ガソリンが78.4kg-co2/GJ 軽油が73.9kg-co2/GJ となっています。


それぞれ、ガソリン=34.6MJ 軽油=38.2MJ という数字から リッターあたりに換算すると ガソリンが2712gCO2/L 軽油が2823gCO2/Lとなります。

というわけで、「Well to Wheel」で考えると、軽油0.96Lとガソリン1Lの排出する二酸化炭素が同等だから、燃費でいえばほぼ数字通りに二酸化炭素排出量が変わってくるといえるわけです。であれば、サイクル理論的に燃費性能に優れるディーゼルは二酸化炭素排出的には優等生といえましょう。

ですが、原油から軽油だけを製造できるわけではありません。

ガソリンも同時に”精製”されることを考えると製造時の発生量を考えるのはフェアでないと思う次第。蒸留で分離しなければ軽油も出来てこないわけですから。もっともガソリンは蒸留後の処理が多いことで製造時の二酸化炭素排出量が増えているのではありますけれど。

ちなみに、上のイラストにもあるように、当たり前ですが原油の精製以外での採掘や輸送での二酸化炭素排出量はガソリンと軽油で同じ。なお単位を変えて製造時の二酸化炭素排出量を示せばガソリンが293.3gCO2/L 軽油が160.3gCO2/L となります(JARIによるデータ)。

というわけで、冒頭に記したように『ディーゼルはガソリンエンジンよりも燃費がいいから二酸化炭素も少ない』というのは、「Well to Wheel」で考えると、結果としては間違ってはいないのですが、果たして製造時での違いまで考えての発言なのか、その点に疑問を感じる今日この頃なのでありました。

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