クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

YouTubeチャンネルで動画を公開しています。チャンネル登録よろしくお願いします。お問合わせや情報などは、こちらのアドレスまで ysplaning@gmail.com   Instagramでも情報発信しています   Facebookページ随時更新中 noteで無料&投げ銭方式のコンテンツを公開しています。

人とくるまのテクノロジー展

アクセラあらためMAZDA3が誕生。新しいシャシーの考え方とは?

減衰よりも豊富なインフォメーションを重視したシャシーセッティング
先日、開催された「人とくるまのテクノロジー展209横浜」の期間中に、正式発表されたアクセラあらためMAZDA3(マツダスリー)。さんざんティザーをしていた関係からか、まったく隠す気もなく、人テクでもマツダのブースではMAZDA3推し。さすがに実車は左ハンドルの海外仕様の展示にとどめておりましたが、パネルの内容は発表前のクルマとは思えないほど詳細なものでありました。
IMG_1004
そんな中で、気になったのがこちらのパネル。MAZDA3から採用している新しい「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」におけるシャシーセッティングについて紹介したものであります。パネルの一部を転記すれば、以下の部分がとくに気になるのでありました。
従来の考え方:ばね上へ伝わる力の大きさ(ピーク値)を低減する
進化の考え方:ばね上へ伝える力を時間軸で遅れなく滑らかにコントロール
サスペンションを乗り心地のための減衰装置と考えるのではなく、クルマとの一体感を増すための機能として活用しようというわけでしょうか…。


続きを読む

ジヤトコのパラレルHEVシステムは湿式と乾式のダブルクラッチ

モーターの後ろにCVTを置いて変速させるマイルドハイブリッド系トランスミッション
2019年の人とくるまのテクノロジー展 横浜、ジヤトコブースの注目は、世界初公開となる軽自動車向けトランスミッション「CVT-S」だったのかもしれませんが、個人的に気になったのはモーターを内蔵したパラレルハイブリッド型のマイルドハイブリッド用トランスミッションのコンセプトモデル。
IMG_0992
それなりにコンパクトな見た目や250Nmというトルク値から1.5~2.0LクラスのFWD用といった印象を受けるトランスミッションの構造は、エンジンとモーター、CVTと並んでいるもので、エンジンとモーターの間に乾式多板クラッチ(第一クラッチ)を置き、モーターとCVTの間には湿式多板クラッチ(第二クラッチ)を置くというもの。システムとしては日産エクストレイルハイブリッドのそれと同じレイアウトといえるもので、目新しいわけではないのですが、クラッチを二つ持つことでEV走行を可能にしたマイルドハイブリッドとしては、電動化が進む中で少なくないメーカーから引き合いがありそうな 印象を受けるユニットではあります。



続きを読む

佐吉電池が実現間近? トヨタの全固体リチウムイオン電池

創業者、豊田佐吉 翁の願いがもうすぐ実現する? 小型・安全・高性能な全固体リチウムイオン電池
自動車ビジネスの初期には内燃機関よりも電気自動車に可能性があると考えられていたのは、ある意味では世界共通。それは燃料供給インフラが整備されていなかったこともあるでしょう。たとえば、かのフェルディナント・ポルシェ博士が19世紀末にローナー・ポルシェと呼ばれる電動車両シリーズを開発したのは有名な話。日本でもトヨタの創業者である豊田佐吉氏が1925年に画期的な蓄電池の発明に100万円の懸賞を申し出たというのは有名な逸話で、その目指した電池は「佐吉電池」と呼ばれ、じつはトヨタの精神として脈々と受け継がれているのでありました(詳細はリンク先のPdfを参照)。
hitotech2019_052
 そして、人とくるまのテクノロジー展2019横浜のトヨタブースには、まさに佐吉電池といえる「全個体リチウムイオン電池」の試作品が展示されていたのでした。

続きを読む

【動画】日本未発売、日産「VCターボ」エンジンのカットモデルを見た!

ストロークはそのまま、上死点の位置を無段階で変更するシステムを可視化!
人とくるまのテクノロジー展2019横浜(主催:公益社団法人 自動車技術会)にて、ついに日産の可変圧縮比エンジン「VCターボ」の動いている様を見ることができたのでした。というわけで、iPhoneで撮影した動画を撮って出し。
 
2018年の人とくるまのテクノロジー展では模型だったVCターボエンジンが、カットモデルにグレードアップされ、マルチリンク機構によりクランクシャフトが可変しているのが可視化されております。

左側の丸い部品がアームを動かしているアクチュエーターのイメージで、そこに入っている緑とピンクのラインによって可変しているのがわかるでしょうか。シリンダー側にも同様に2色のラインが入っていて、上死点の位置を変えて圧縮比を変更しているのが見て取れるという展示であります。


続きを読む

物理スイッチのない、ステアリングスイッチを実現するValeoのテクノロジー

ステアリングスポークからスイッチを消滅させる、ヴァレオのジェスチャーUIがスーパースポーツのインテリアを変える?
_MG_9886

若干、旧聞に属する話になりますが、2018年の 人とくるまのテクノロジー展 横浜で見かけた気になるデバイスが、ヴァレオの「3Dジェスチャーユーザーインターフェース」。ステアリングの奥、おそらくメーター内部かコラム上あたりに仕込まれるであろうセンサーを使って、両手の動きを検知するというもの。スケルトンになったスポーク付近で指先を動かすことで、オーディオやナビなどの操作をしてしまおうというもの。物理スイッチを廃してジェスチャーでコントロールする意味がどこまであるのかわかりませんが、その展示を見ているとなんとなく狙いが伝わってきます。

人とくるまのテクノロジー展における展示では、ポルシェと思われるステアリングを利用していましたが、たしかにスーパースポーツカーのステアリングに、ナビやオーディオに関するボタンがついているのは興ざめな部分もあって、ジェスチャーコントロールできることは、レーシーなコクピットの演出につながるのでありましょう。もっとも、この配置を見ているかぎりはパドルシフトとの併用は難しそうな印象もありますので、MT専用デバイスといえるのかもしれません。なお、パドルシフト的な操作の認識や利用が可能かどうかを説明員の方にうかがったところ「そうした使い方は想定していない」との答だったのは、少々残念な気もしますが……。

_MG_9891
そして、このセンサを使うと手でステアリングを握っている様子がモニタリングできるのですが、その手癖を学習することで、ステアリングアシストの制御に使えると高価格なスポーツカーにおいては、いわゆる「おもてなし」になるのかも? と思ってみたり。ドライバーの意図を汲んで、意識させないようなアシストというのは、運転がうまくなった気にさせることが期待できますので。

_MG_9882



-----------------
精進します。
  




人気ブログランキング
 

機械式スーパーチャージャーの雄、イートン社のツインボルテックスシリーズ

プレミアムブランドに選ばれるイートンの機械式スーパーチャージャー
IMG_3720
「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」で見かけたイートンの主力製品である四葉ローターのルーツ式スーパーチャージャー「TVS(ツイン・ボルテックス・シリーズ)」。日本での機械式スーパーチャージャーといえば、四半世紀以上前に軽トラ・軽1BOXのパワーユニットに採用されるムーブメントがあったような記憶もあるのですが、このユニットはもっと大きく、2.0リッター以上のエンジンに使われることを想定したサイズに思える一品であります。

いったん捨ててしまった排気エネルギーを利用して過給するターボチャージャーに対して、クランク出力を利用する(つまりエンジンの力で回す)機械式スーパーチャージャーは、エネルギーの使い方としてはロスがあるといえ、ダウンサイジングターボがいうところの効率でいえば、けっして素性がいいとはいえないわけですが、一方で排気エネルギーに頼らないということはエア供給についての自由度が高いというメリットもあり。とくに現代のエンジンはDBW(電子スロットル)ですから、たとえば停止状態でも機械式スーパーチャージャーを回すエネルギーを計算して、そのぶんだけアイドリング回転を上昇させるということも可能なわけで、プレミアムカーに求められる”上品かつパワフルなローンチコントロール”みたいな味付けもしやすいのかな、などと思ってみたりするのでした。画像のR410型はクラッチ内蔵型なので、機械式スーパーチャージャーが苦手としている高回転域ではスーパーチャージャーを切り離し、エンジンの負担を減らすということも、パーツ側で可能になっているのもポイントでしょうか。

ところで、最近ではISG(スタータージェネレーター)を使ったマイルドハイブリッドも増えているわけですが、前述したような停止状態でスーパーチャージャーを利用するようなシーンにおいて、ISGに電気を流して回すことでエンジン負荷を軽減しつつ、スーパーチャージャーによる空気増量効果を利用できるのでは、などと妄想してしまうのでした。そこまで面倒なことをするメリット(燃費効果)がどれほどあるかは不明ですけれど(汗)
FullSizeRender
-----------------
精進します。
  




人気ブログランキング
 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

月別アーカイブ
  • ライブドアブログ