クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

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トランスミッション

JDパワーで高評価、SUBARU XVが大幅な商品改良を実施。そのポイントは?

新色「プラズマイエロー・パール」がオリジナリティを主張するXVの商品改良

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ルーフレール・レス仕様だと全高1550mmという都市型のプロフィールながら、最低地上高は200mmを確保するスバルのクロスオーバーSUV「SUBARU XV」がマイナーチェンジを実施、2020年10月8日から発売すると発表しております。

グリル内やバンパー両脇のシルバー(メッキ)加飾の面積を拡大したフロントフェイスが変更点では目立つところで、そのほかエクステリアではアルミホイールの意匠もリフレッシュしているとのこと。まさしく正常進化といったところですが、ある程度新鮮味をプラスするだけで、大きく方向性を変えていないというのはマイナーチェンジ前の市場評価が高かったことを意味しているといえます。

そんなSUBARU XVのメーカー希望小売価格は1.6リッター車が220万円~238万7000円と従来同様。2.0リッター車も265万1000円~298万1000円とまったく変わっていないのでした。では、外観変更だけで機能面では進化していないのかといえば、さにあらず。

とくに2.0リッターのe-BOXERと呼ばれるマイルドハイブリッドについては「e-Active Shift Control」なるアダプティブ変速制御を盛り込んでいるのが大きな進化ポイントとして注目であります。

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ホンダN-VAN、Nシリーズに初採用の6速MTに乗った


レシオカバレッジは6.18、専用ギア比のN-VAN用6MTはローレシオで気持ちいい!
ホンダが19年間も作り続けてきた軽商用バン「アクティバン」に変わって、N-VANをデビューさせたわけですが、その走りを公道で味わう機会に恵まれたのでした。軽商用バンですから高速性能やハンドリングよりは市街地での取り回しや荷物が跳ねないという意味での乗り心地などを確認しようと試乗したのですが、Nシリーズとしては初設定となる6速MTの気持ちよさにズキューンと胸を打ち抜かれてしまったのです。

基本設計はS660譲りといいながら、変速比はN-VAN専用に煮詰められた6速MT。
N-VAN用6速MT変速比 ※( )内の数値はS660
1st 3.923(3.571)
2nd 2.318(2.227)
3rd 1.606(1.529)
4th 1.097(1.150)
5th 0.829(0.869)
6th 0.634(0.686)
Rev 4.454(3.615)

このムービーでは忙しなくシフト操作をしていますが、それが負担に感じるどころか楽しく思えるほど小気味いいフィーリング。実際、荷物を満載にすると加速を待つ時間が出てくるでしょうから(MTはNAエンジンのみに設定)、もう少しシフト操作に頻度は減るでしょうが、空荷で走らせているとホットハッチを運転しているように錯覚してしまうほど楽しんでしまったのでした。しかも、全体にローギアードなこともあり小気味よく走っても法定速度の範囲内というのも、またN-VANの魅力でしょうか。その速度域で、このエンジン音というのも、また商用車らしさであります(乗用車であればNVH的にネガになるのが美点に感じるのは、まさに「痘痕も靨」?)

N-VANではVTECレスになっているNAエンジンですが、MTとのコンビネーションによりこれほど楽しめるパワートレインになっているのであれば、N-ONEローダウンボディに、パワートレインをそのまま移植しても、かなり楽しめる一台になりそう。かつて、そんな妄想をしたことを思い出してはニヤニヤしてしまうのでありました(汗)

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精進します。
  




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ホンダ(アキュラ)が9速ATを採用するとか!


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というわけで、次世代のトランスミッションに注目したいアキュラTLX。トルコン付き8速DCTはまだしも、9速ATについては、某Z社がパテントをかなり押さえているというウワサもあり、例の9速ATを購入しているような気がするのですが、どうでしょうか?

というわけで、あくまでもイメージ画像です(汗) ZF 9HP
IMG_1062

なお、一方でホンダはCVTの工場をメキシコに建てるなど、カテゴリによってはCVT推しで行くようなので、今回の発表を持ってDCTや多段ステップATに移行すると考えるよりは、比較的少量生産のモデルについては、こうした手段をとるという風に見たほうが妥当なのかもしれませんが、いやはやトランスミッション関係はいろいろ熱くて興味深い昨今です、ハイ。

2013年、個人的に興味津々だったのはトランスミッション

EVやハイブリッドが次世代の主流と言われつつも、まだまだ内燃機関も進化するとという主張もあります。なにが正しいというよりは、適材適所なので、いろいろな技術がそれぞれのマッチングする用途やニーズに合わせて進化するのが機械としての適切な姿でありましょう。なにかひとつの技術が完全な解なわけはありません。

正直、そうした適材適所を無視した議論にはウンザリすることもありますが、エンターテイメントとして、趣味としては、現実を無視したような机上の空論も楽しめるのも事実。そのあたりをうまく使い分けながら次世代のテクノロジーで楽しんできた2013年でありましたし、2014年もそうありたいと思う次第。

というわけで、2013年を振り返ると、自分の中ではトランスミッションのプライオリティが上がった一年であったなあ、と。内燃機関の進化はもちろんですが、伝達システムが進化しないことには、トータルでの環境性能・燃費性能は出せません。

ですから、トランスミッションの重要度はますます上がるだろうし、徐々に自動車のパワートレインを語るときに、トランスミッションの比率は増えていくのだろうな、とも思うところなのであります。

こうした話をすると、トランスミッションの理想形は●●だ! みたいなことになりがちですが、前述したようにテクノロジーというのは適材適所。それぞれの技術にメリット・デメリットがあって、エンジニアはメリットを伸ばし、デメリットを解消するように進化させているので、そもそも論だけでは語り切れません。

単純にDCT、CVT、ステップAT、AMT、MTとわけても、それぞれにメリット・デメリットはあるわけで。たとえば、単体重量が重いユニットは軽量な小型車にはベストマッチといえない面もあったり。似たような話でいうと、小排気量エンジンにはトルクコンバーターのトルク増幅効果があったほうが有利という見方もできたり、というわけです。

さらに、トランスミッションには新技術も続々と出てきています。

国内でいっても、東京モーターショーに出品された「シフトアップにトルク切れなし?! というIKEYAのシームレスAMT」は注目を集めましたし、NEDOの助成事業として京都大学が開発した「変速時の駆動力抜けのない変速システム」も気になるところ。

この京都大学の変速システム、自分の理解でいえば、メインシャフトとカウンターシャフトを同期させるためのギアを持つAMT型のトランスミッションで、目からうろこではありました。もっとも、昨日今日で出てきたものではなく、ずいぶん前から発表されていた技術なので、それに気付いていなかった自分を恥じるばかりでもあります……。


というわけで、2013年たいへんお世話になりました。

2014年も引き続き、よろしくお願いします。


以下、2013年に拙ブログにアップした変速システム関連の画像。数えてみたわけではありませんが、エンジン関係より多くなっているようです(汗)

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しかしながら「電気式CVT」はメディア関係者でも誤解しているので、2014年はもうちょっと明確にしていかないとですよね~、などと思うこと仕切り。もう、枯れた技術の領域に入ってきているとは思うのですが。

画像3

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最後に追記的に書いておくと、エンジンの進化が止まったというわけではなく、2013年のトレンドとしてトランスミッションは進化のフェイズだったのに対して、エンジンは普及に向けたコストダウンが進む段階だったので派手さがなかっただけという印象あり。その一例が、日産やスズキ、ホンダのデュアルインジェクター。直噴エンジンのメリットをポート噴射で実現することでコストダウンを図ったテクノロジーという見方をすれば、の話ではあります。

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ホンダはグローバルにCVT路線を拡大する!?



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日本のような道路環境ではCVTが優位でも、アメリカではステップATが人気で、欧州はDCTが次世代トランスミッションとして支持されている……というトレンド話もありましたが、どうやらホンダは北米市場でもCVT推しでいくようで。

というわけで、以下ニュース発表から引用。

Honda、メキシコに新トランスミッション工場の建設を決定
ホンダ・デ・メキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイ(以下、HDM)は、現在新四輪車工場を建設しているグアナファト州のセラヤ工場敷地内に、約4.7億USドル(約447億円※)を投資して、年間生産能力約70万台規模の四輪車向けトランスミッション工場を建設することを発表しました。

新トランスミッション工場は、CVT製造において圧倒的な競争力を持つグローバル供給基地と位置づけ、新四輪車工場と同一敷地内に建設することでメキシコのインフラを最大限活用した高効率な生産体制を構築します。新トランスミッション工場は、2014年春の四輪車完成車ラインの稼働開始に続いて2015年後半に稼働を開始する予定で、初年度の年間生産能力は35万台規模の予定です。2016年後半には70万台規模へと拡張し、従業員はフル生産時で約1,500人を予定しています。

メキシコ新工場はHondaにとって3番目の北米トランスミッション工場となり、これによりHondaの北米におけるトランスミッションの年間生産能力は現在の137万5千台から2016年には200万台超へと増加します。

Hondaは、「需要のあるところで生産する」という考えに基づき、1979年9月に米国で二輪車の現地生産を開始し、1982年11月には日本の自動車メーカーとして初めて米国で乗用車の生産を開始しました。以来、北米での現地生産を拡大し、2013年3月までの北米における四輪車の累計生産台数は2千5百万台を超えています。

HDMの現在の四輪生産能力は年間6万3千台となっており、2014年春予定のセラヤ新四輪車工場の稼働開始により年間生産能力は26万3千台へと増加します。また、2012年のメキシコ国内での四輪車の販売実績は5万4千台(前年比150.6%)と着実に販売台数を伸ばしています。

この手の投資は、地元への経済効果をアピールすることも多く、それはそれで政治的には重要なのでしょうが、気になるのはCVTの生産ラインを北米市場向けのクルマを作るメキシコ工場に新設するという点。

つまり北米市場にもCVTを拡大していくという意思表示。思えば、スバルもリニアトロニックと名付けたチェーン式CVTを全世界的に投入していますが、それは生産規模との兼ね合いで複数の変速機を用意しづらいという面もなきにしもあらず、という印象。

ですが、ホンダの場合は現地生産が基本ということもあって、それぞれの市場にあわせた組み合わせが可能なはず。となれば、アメリカでも今後はCVTが主流になると予想しているのか、アメリカでのニーズにホンダとして応えるにはCVTへシフトするということが想像できるわけ。

もともとホンダは独自の平行軸式ステップATを採用しているのが特徴ですが、これは遊星歯車を使わない点でAMTとトルコンを組み合わせたというイメージのシステム。現在のトランスミッションに求められるのは、エンジンの熱効率に優れた領域を外さずに、あらゆる加速状態・速度への対応ですから、ホンダ式のステップATでそれを実現する、すなわち多段化・変速のクロス化を進めると重量が重くなる一方で将来が見えないのかもしれません。

仮に、エンジンベイに余裕のある北米市場向け中・大型車に専用CVTを拡大することを考えると、生産規模を考慮すると専用の大きめなCVTを用意できるでしょうし、ミッションケースを大きくできれば、CVTのキーとなるふたつのプーリー間の軸距離をとれるので、変速比幅を広くできるというメリットもあり、と予想する次第。


トヨタのハイブリッドシステム担当エンジニア氏の受け売りですが、「多段ミッションでも、CVTでも、ハイブリッドでも、クルマが内燃機関を使っている限り、燃費性能やパフォーマンスを高めるには、エンジン効率が最大になるところをキープするのが狙いであって、そのアプローチとしていろいろな方法があるに過ぎない」わけです。

果たして、なにが正解になるのかはわかりませんが、ともかくエンジンと変速装置それぞれ単独での性能ではなく、協調制御を含めた、パッケージで考えないといけない時代なのは間違いないところでしょう。

 
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