クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースやコラムをお伝えします。

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ダウンサイジング

ポルシェ・カイエンGTSがV8リターン、ダウンサイジング指向の終わりの始まり?

排気量も、気筒数も増やしたカイエンGTS。その背景にはピュアEV「タイカン」の存在がある?

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ポルシェジャパンがカイエンGTSの価格を発表。そのニュースリリースのタイトルは『8気筒エンジンを再び搭載。新型カイエンGTSモデル』となっておりました。
先代カイエンGTSには3.6リッターV6ツインターボエンジンが搭載されていましたが、このニューモデルでは再びV8エンジンが採用されました。最高出力338 kW(460 PS)、最大トルク620 Nmを発生する4リッターツインターボエンジンは、あらゆる面でパフォーマンスを大幅に向上させています。
というわけで、ダウンサイジングもレスシリンダーも否定するかのようなポルシェのモデル進化であります。個人的に、ポルシェの戦略というのはトレンドをつくると感じている部分もあり、今回のカイエンGTSにおけるパワートレインの選択は、もはやプレミアムクラスではダウンサイジング・トレンドは終了したということを意味しているのでは? と思うのでした。

もちろん、単純にダウンサイジングやレスシリンダーを否定して、「CO2排出制限なんか無視するぜ」という意味でないことも明らか。ポルシェというのはインテリジェンスなイメージのブランドでもありますから、そうした乱暴な考え方は似合いませんから。では、ロジックとしてダウンサイジングを終了するにはどんな背景があり得るのか。そうした点について考察した動画をYouTubeにアップさせていただきました。

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ダウンサイジングターボはハイブリッドの代替にはならない?

鋳物のパイピングが個人的には注目ポイントなホンダの1.5リッターガソリンターボですが、一部に「ハイブリッドのかわりに拡大する」といった報道もあるようで。

たしかに、ダウンサイジングターボというのは、環境指向の過給エンジンという側面もありますが、それをもってハイブリッドの代替ユニットというのは、どこか違和感なのです。

現時点で、ホンダ車において1.5リッターのダウンサイジングターボとワンモーターハイブリッドの両方を搭載しているのはジェイドですが、その最高出力とモード燃費の関係は以下の通り。

i-DCDスポーツハイブリッド:152馬力(システム出力) 24.2~25.0km/L
VTECターボ:150馬力 18.0km/L

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ジェイドのターボ「RS」オトナな味に物欲刺激される


ホンダ・ジェイド初試乗。4座+αの6シーター

スペックの数字でいっても最大トルクは違いますし、以前のエントリで触れているように乗り味もかなーり異なります。最高出力に劣るターボエンジンですが、実際の印象としては、ターボのほうがトルクフルでパフォーマンスを実感できるのでありました。

とはいえ、モード燃費の数字に見える差はおそらく埋めがたいもの。やはりエネルギーの回生できる量というのはストップ&ゴーをメインとしたシーンでいえば影響大で、ハイブリッドの優位性にダウンサイジング過給エンジンで追いつくのは難しいという印象。

そしてジェイドに関していえば、いずれのパワートレーンでも車両重量は1510kgと同じなのもダウンサイジングターボのメリットを感じづらい部分。この重量、けっしてターボエンジン車に補強などの装備を与えているからだけでなく、補機類を含めたターボエンジンと、それに対応したCVTが重くなっているのも理由といいますから、ハイブリッドに対する、駆動バッテリーを積まなくて済むことによる軽さというのも、それほど期待できないようでありますし…(出汁)

というわけで、ホンダについてはダウンサイジングターボの拡大はあるでしょうが、それはハイブリッドの代替ではなく、2.0~2.4リッターの自然吸気エンジンの置換とみるのが妥当なのであろうと思う今日このごろでありました。

精進します。














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環境志向であっても、やっぱりブースト計は欲しいと思う

ここ数十年の自動車史を振り返ると、1970年代にハイパフォーマンスとしてのターボエンジンが生まれ、大排気量主義や環境性能へのニーズにより衰退し、また再び環境志向のダウンサイジング過給エンジンとして復活を遂げているといった大きな流れを感じる今日このごろ。

それはさておき、ターボエンジンを操るポイントはブーストを管理意識にあり、とは昔から思っているところ。

パフォーマンスを引き出す面でいえば、加速時のブーストドロップを防ぎ、またピーク値を維持できるような走らせ方(アクセルやシフト操作)が重要であります。

それは環境志向のダウンサイジングエンジンでも同様。ダウンサイジング過給が狙う省燃費性能においてもブーストをコントロールする意識は持っているべきだと思うのです。

といっても、燃費指向のドライビングにおいてはフルブーストをキープするというよりは、正圧に入るか入らないかという領域で走らせると有効であろうというのが経験則。

この画像でいえば中央にある「0」の辺りに針がくるようなブースト値が燃費においしいイメージなのです。

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とはいえ、あくまで経験則であり、イメージでありますから、すべてのクルマ・個体に通用する話とも思っておりません。燃費のスイートスポット、やはり個別に異なるでしょうから。

であれば、燃費的においしいゾーン、走らせ方を学ぶヒントとしてエンジン回転とブースト(過給圧)、そして瞬間燃費という3つのデータはドライバーが注視せずとも認識できるようにしておいて欲しいと、しみじみ思うのでありました。

エンジン制御において過給圧を管理していないわけがないので、データは走っているはずで、最近のクルマで多く見られる多機能ディスプレイにブースト値を表示するのは、けっして難しいことではないでしょうから……。



参考画像は新しいフォード・マスタングのメーター中央ディスプレイにブースト計を表示したところ。さすがに3barまでの表示はやり過ぎな気もしますが(汗)


精進します。











 

萌えテクノロジー満載のトヨタ8NR-FTSエンジン。しかし車両全体では……

トヨタ・オーリス、1.2リッター直噴ターボ、ついに日本市場向けが正式に登場。

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車両に積んだ状態はともかく、このエンジンは単体として萌え要素がいっぱい。


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トヨタ内製ターボチャージャーというのが、隠れた萌え要素でありまして。きっと「CT」という型式が付けられているのだろうな、などと妄想してしまうのでした。

トヨタいわく、水冷インタークーラーは、トレンドでありますし、LEXUS NXに搭載する2.0Lガソリンターボ「8AR-FTS」も水冷インタークーラー。そして、いずれのターボエンジンも「8」という数字で始まっているのは偶然ではなく、なんらか意味のある記号のように思うのでありました。

ちなみに、末尾につくアルファベットはこれまでのトヨタ流でいえば、Fが狭角バルブヘッド、Tがターボ過給、Sが直噴、という意味のはずですが、さて? 






それはさておき、この1.2リッター直噴ターボエンジンを積むオーリス120Tのスペックを見ていくと、若干の寂しさというか、残念感もあり。

CVTとの組み合わせになっている点については、ブーストのかけやすさなどから理解できる面もあるのですが、同じ1.2リッター4気筒ターボでDCTを組み合わせているVWゴルフとは価格的にも、ガチのライバル関係。

ただし、トヨタで、国産だからといって、けっしてアフォーダブルな価格設定でなく、それでいてモード燃費でゴルフ・トレンドラインに達していないのは、厳しい印象。

ゴルフ・トレンドライン:21.0km/L
オーリス 120T:19.4km/L
これで、明らかに安い値付けであればいいのですが……。
いずれも先進安全技術を備えているので、大筋では素の状態で比較して問題ないでしょう。

たしかに最大トルクからすると1.85リッター級のダウンサイジングなので、オーリスのラインナップでいえば、最上級グレードになるのは自然な話なのでしょうが……。



 
精進します。










カメラ式プリクラッシュセーフティを搭載のノートに興味津々

直列3気筒スーパーチャージャーCVTより4気筒MTのほうが軽い!? というエントリで日産ノートのマイナーチェンジで生まれたスポーツバージョンについて触れましたが、そういえば日産の屋台骨を支える、最量販モデル「ノート」もマイナーチェンジでありました。

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ポイントは「エマージェンシーブレーキ」、「LDW(車線逸脱警報)」を搭載した特別仕様車「Vセレクション+Safety」の登場でしょうか。

今回のマイナーチェンジでは、デザインの一部変更、ボディカラーの入れ替えを行うとともに、グレード体系および装備の見直しを行い、商品力を向上させました。

X、X DIG-S、X FOUR、エアロスタイルをベースに、特別仕様車「Vセレクション+Safety」を新たに設定

装備面では全車にVDC、サイドターンランプ付ドアミラーを標準装備
ダウンサイジング過給エンジンとして生まれたミラーサイクル+スーパーチャージャーの3気筒HR12DDRエンジンと、フロントカメラを使うことで歩行者も認識できるエマージェンシーブレーキというふたつの特徴的なテクノロジーを味わえる、X DIG-S Vセレクション+Safetyで 1,632,960 円というメーカー希望小売価格の設定はなかなかに魅力的。

できれば、この価格のまま、セレナ同様にISGを使ったマイクロハイブリッド化して、サイレントでスムースなエンジン再始動も味わえるようになると、これまで以上にダウンサイザーを獲得できそうな気もしますが、はたしてディーラーの持っている顧客リストをダウンサイザーにシフトさせてしまうのが得策かどうかは、また別の話であります(汗)

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直列3気筒スーパーチャージャーCVTより4気筒MTのほうが軽い!?

日産ノートに、事前発表通りにニスモ仕様が登場。

ノートのメカニズムを代表する1.2リッター3気筒直噴スーパーチャージャー+副変速機CVTのNISMOと、改造申請仕様となる1.6リッター4気筒+5MTのNISMO S というラインナップであります。

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NISMO S については持込登録になるので、あくまで参考値でありますが、その車重は1080kgとのこと。

一方、ダウンサイジング過給エンジンであるNISMOのカタログ重量は1110kg。


しかもNISMO Sはタイヤ・ホイールがインチアップしていますし、ボディ補強アイテムも追加されているので、そこでの重量増もあるはずで、単純にパワートレインだけで30~50kgの違いがありそうな雰囲気。当然、3気筒のほうが軽いイメージのある鼻面の重さも逆の結果になっているのでしょう。

それはさておき。

トランスミッションや補機(スーパーチャージャーユニットやオルタネーターなど)の違いがあるとはいえ、同じボディで3気筒エンジンのグレードが4気筒のそれより重いというのは、まさしく「ダウンサイジング過給エンジンというのは何だろう?」といった具合に、いろいろ考えさせられるのでありました。

少なくとも、排気量だけでなく気筒数も減らしたダウンサイジング過給エンジンであれば、『軽量化につながっている』と、数字を確認することなく、思い込んでしまってはいけないのかもしれません。

今回の比較においては、MTの軽さというのが、重量差において影響大だとはいえ、仮に4気筒エンジン+AMTでもパッケージングとしては、さほど重量増にはならないとすれば、軽さという点での最適解は必ずしもダウンサイジングとはいえないのかも……。

もちろん、外部EGRなどを活用する際に、過給エンジンの優位性も出てきますし、気筒減によるフリクション低減というメリットもあるので、重量だけがすべてではないのですが。



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