クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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エンジン

ボア86mm×ストローク86mm、国内では幻のボクサーエンジンとは?

SUBARUがクリーンディーゼルを開発したこと覚えてますか?マルチパスウェイ的アプローチは結果的に開発リソースの無駄づかいに見えることもありますよね

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ピストントップが凹んだ燃焼室になっていることから、これはディーゼルエンジンでしょ! と一目でお分かりになる方々には、今さらかもしれません。シリンダーが横になっていて、なおかつ2気筒が並んでいる状況からも想像できるように、こちらは水平対向ディーゼルエンジンのカットモデル。そしてディーゼル+水平対向という組み合わせを近年で実現している乗用車メーカーといえば、SUBARU(スバル)をおいてほかにありません。

そうです、これは2008年モデルあたりから欧州を中心に展開した「EE20」型ボクサー”クリーンディーゼル”エンジンの展示を撮ったもの。説明員の方が写っているカットもあったので、おそらく「人とくるまのテクノロジー展」の取材時に撮影したのでありましょうか。画像の撮影日をみると2007年5月となっているので、記憶があいまいなのは恐縮です。

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※ 画像はすべて2007年5月に撮影したもの続きを読む

マツダが究極ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」の存在を明かす。

SKYACTIV-Zエンジンに採用される「ラムダワン燃焼」とは何のこと?


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マツダが2025年3月期 第2四半期決算を発表、そのプレゼンテーションにおいてSKYACTIV-Zガソリンエンジンを開発していると明示したことが話題となっています。その部分での発言を以下に引用してみましょう。
•SKYACTIV-GやXの後継である新型4気筒エンジンSKYACTIV-Zエンジンを開発中です。
•将来は直列6気筒エンジンにも、この新型エンジンの燃焼技術を移植して環境性能を高めてまいります。
•エンジンは選択と集中を行い、種類数全体は段階を追って集約を進め、大幅な効率化を図る計画です。
•このSKYACTIV-Zエンジンは、理論燃焼であるラムダワン燃焼を使い、低回転から高回転まで広いレンジでスーパーリーンバーン燃焼を実現することで高い熱効率を実現し、優れた環境性能と走行性能を提供できます。
•欧州ユーロ7や米国LEV4・Tier4などの厳しい環境規制に適合できるこのエンジンを2027年中の市場投入を目指して進めていきます。
アルファベットの最後が「Z」であることは言うまでありません。つまり”SKYACTIV-Z”は最後のガソリンエンジンであり、究極のガソリンエンジンであることを予感させるネーミングです。

そのコア技術となるのが「ラムダワン燃焼」であり、ワイドレンジでの「スーパーリーンバーン燃焼」であることが、決算発表プレゼンテーションで明らかにされたわけです。

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いかにもホンダらしい過給V3エンジンは軽自動車に使えるか?

二輪車として世界初の電動過給機付き新型V型3気筒エンジンをミラノショーでワールドプレミア

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ホンダがやってくれました!

EICMA 2024(ミラノショー)において、二輪車として世界初となる電動過給機付きV型3気筒エンジンを初公開であります!!


新規開発中の大型二輪車を想定した水冷75度Ⅴ型3気筒エンジンは、スリム&コンパクトを追求しました。また、二輪車として世界初の電動過給機を採用。エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールする事で、低回転からハイ・レスポンスなトルクデザインを実現しています。加えてスペースが限られている二輪車において、自由度高く配置可能な特徴を活かしてマスを集中化し、インタークーラーを必要としない設計を行う事で軽量化にも貢献しています。
前方2気筒、後方1気筒となるレイアウトのV型3気筒エンジンに、かつての2スト3気筒マシンである「NS400R」のV型エンジンを思い起こしてしまうほどのオールドファンは少数派かもしれませんが、いずれにしてもV3という”変わった”シリンダーレイアウトを市販車に搭載しようという動きは、いかにもホンダらしいといえるのでは?

公表されている画像は、おそらくディスプレイ用なので実車では電動過給機(スーパーチャージャー)の配置が異なるかもしれませんが、それでもサージタンクに電動スーパーチャージャーをほぼ直付けしているように見えるのは、なかなかにアグレッシブな設計に思えます。

過給エンジンにおいてサージタンク圧というのは、けっこう重要なパラメータになるという風に思っておりますが、もしサージタンク圧を一定に保つよう電動スーパーチャージャーを稼働させると、かなりハイレスポンスで常に過給のかかった状態でエンジンを回せそう。もちろん滑らかなトルクを出すには電制スロットルとの協調制御も必須だとは思いますが…。



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エンジンが生き残るのと、エンジンを楽しめるのは別の話

熱効率を追求していくとエンジンは定常回転というのが日産の主張。つまりエンジンサウンドは一定になり、アクセルで操作するのは駆動モーターの出力トルクになる

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その背景についての是非はともかく、いまやCO2排出量削減というのは世界的なコンセンサス。そのため自動車業界的にはゼロエミッションビークル(電気自動車or燃料電池車)に向かうというのが大きなトレンドになっております。

とはいえ、現時点での発電比率や燃料インフラの整備具合などを鑑みると、一般ユーザーが使うにはガソリンハイブリッドで、それもかなり燃費に優れたモデルを使うというのがベストソリューションといえるのも事実。このファクトが「自動車からエンジンは消えない」という主張をする層にとって理論武装的に利用されるケースもままあると感じるところ。

実際、そうしたナウ&リアルでのCO2削減効果が評価されたことも、今年の欧州カーオブザイヤーにトヨタ・ヤリスが選ばれた理由という話もありますから。



それでも、将来的に再生可能エネルギーによる電力供給が増えたときにはBEVが主力になるという未来の方向性は変わらないというのも、また自動車業界でのコンセンサスとはいえるのですが……。

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日産が最大熱効率50%のエンジンを発表。発電専用と排熱回収がポイント

ハイブリッドカーに使われているガソリンエンジンも量産では41%あたりが限界。50%の最大熱効率はエンジニアの夢の実現

日産自動車が、次世代「e-POWER」発電専用エンジンで世界最高レベルの熱効率50%を実現 という記者発表を行ないました。





その内容はこちらの映像やニュースリリースにて公開されているわけですが、非常に大雑把にまとめると次のような流れとなっております。

現時点での量産エンジンでは最大熱効率40%程度が限界→

その理由はエンジンがトランスミッションを介してダイレクトにタイヤを回す仕組みの限りフレキシビリティが求められるため→

エンジンを発電専用に特化させることで完全定点運転が可能になり、熱効率を飛躍的に向上させる可能性が高まる→

新開発した燃焼コンセプト「STARC」(Strong Tumble and Appropriately stretched Robust ignition Channel)は筒内ガス流動(シリンダー内に吸入した混合気の流れ)や点火を強化し、より希釈された混合気を高圧縮比で確実に燃焼させることによって熱効率を向上させるという考え方→
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第三世代「隼」誕生。190馬力と微妙にパワーダウンしながら、発生回数が9700rpmとわずかにアップ

2020年より新型二輪車に導入されている排ガス規制「ユーロ5」に対応するための進化ポイントとは

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スズキのフラッグシップモデル「HAYABUSA(隼)」が第三世代へと全面改良。見るからに隼! というアピアランスは『Ultimate Sport(究極のスポーツバイク)』という初代からつづくコンセプトが不変なことをひと目で理解させるものであります。

進化のポイントは、最新の環境規制をクリアしつつ、隼らしいパフォーマンスを維持すること。実際、スズキ公式のYouTube動画など見ても排気系には計3つのキャタライザーが仕込まれているということが確認でき、いわゆる排気抵抗は大きくなっているわけですが、それでも140kW(190馬力)は確保しているのでありました。もちろん、排ガス対応もあってピークスペックは従来モデルよりわずかに劣っているのですが、その発生回数が9700rpm(従来モデルは9500rpm)と上昇しているところに苦心の跡を見出すことができるのでは?





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