SUBARUがクリーンディーゼルを開発したこと覚えてますか?マルチパスウェイ的アプローチは結果的に開発リソースの無駄づかいに見えることもありますよね

_MG_2725

ピストントップが凹んだ燃焼室になっていることから、これはディーゼルエンジンでしょ! と一目でお分かりになる方々には、今さらかもしれません。シリンダーが横になっていて、なおかつ2気筒が並んでいる状況からも想像できるように、こちらは水平対向ディーゼルエンジンのカットモデル。そしてディーゼル+水平対向という組み合わせを近年で実現している乗用車メーカーといえば、SUBARU(スバル)をおいてほかにありません。

そうです、これは2008年モデルあたりから欧州を中心に展開した「EE20」型ボクサー”クリーンディーゼル”エンジンの展示を撮ったもの。説明員の方が写っているカットもあったので、おそらく「人とくるまのテクノロジー展」の取材時に撮影したのでありましょうか。画像の撮影日をみると2007年5月となっているので、記憶があいまいなのは恐縮です。

_MG_2713
※ 画像はすべて2007年5月に撮影したもの
_MG_2717

この「EE20」型クリーンディーゼル水平対向エンジンのボア×ストロークは86.0mm×86.0mmのスクエアタイプ。奇しくも、後にトヨタ86/スバルBRZに搭載されるFA20と同じ数値ですが、かたや高回転志向のNAガソリンエンジン、EE20はトルク重視のディーゼルターボでありますので。

そもそもトルク重視であればロングストロークにすべきというのが、当時の教科書的な設計ですが、水平対向エンジンでストロークを伸ばすことは横幅を広げることになってしまい、車体への搭載性を考えるとスクエアなボア×ストロークにするのが精一杯だったのかもしれません。

ところで、先日以下のようなコラムを書きました。内容はさておき、EVが先行してストロングハイブリッドが遅れて出てきたのは、開発順序としては逆転しているのでは?と指摘するような刺激的なタイトルがついております。



ただ、このブログエントリで紹介している水平対向”クリーンディーゼル”エンジンが、実際には新開発エンジンとしては異例の超短命に終わったように、環境対応が求められる過渡期には開発リソースや優先順位の付け方によって「できたものからローンチする」、「市場ニーズがなかったら早めに撤退(損切り)する」という経営判断が重要であります。それが、いわゆる『マルチパスウェイ(多種多様な選択肢を用意する)戦略』には必要なマインドといえるのかもしれません。

_MG_2723

ところで、スバルのボクサーディーゼル「EE20」のヘッド部分をクローズアップしたのがこちら。ガソリンエンジンではプラグとコイルが鎮座している場所にあるのは、おそらく&たしかデンソー製インジェクターだったと記憶しておりますが、さて?

-----------------
精進します。