一充電で1000kmを走る電気自動車コンセプト「VISION EQXX」。10km/kWhの目標電費が凄すぎる

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メルセデス・ベンツ(ダイムラー)が本気を出した! 

そんな印象の電気自動車が「VISION EQXX」です。2022年1月5日に発表された、このコンセプトカーは電気自動車のネガといわれる航続距離を圧倒的に伸ばしてきたのが注目点で、想定される一充電航続距離は1000kmといいますから、そんじょそこらのガソリン車でも敵わないレベルのツーリング性能をターゲットにしているというわけでした。

そんなVISION EQXXの特徴をいくつかピックアップして紹介いたしましょう。

ポイントは以下の4点です。
  • F1ノウハウを活かした高密度バッテリー
  • 空気抵抗を極限まで減らす空力ボディ
  • 駆動エネルギーを生み出すソーラーパネル
  • バッテリーtoホイールで95%の高効率
 
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これまでのメルセデス・ベンツとは異なりグリルレスのスタイリングとなっているのも、電気自動車として究極を目指したことを感じさせます。4ドアクーペ的なスタイリングもロングレンジの電気自動車として意味があるものですが、それを実現するためのテクノロジーを知ると本気度に驚かされるばかりなのでした。

F1ノウハウを活かした高密度バッテリー

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バッテリーについてはF1でのノウハウを投入したということで、軽量かつコンパクトなのが特徴。100kWhという大きな電力量ながら、トータル重量が500kgを切っているというのはかなり軽量といえますし、400Wh/Lという体積エネルギー密度も誇っているのでありました。1750kgという軽い車体に仕上げられたのは、このバッテリーのおかげといえましょう。

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さらにVISION EQSSのバッテリーパックを同社のフラッグシップ電気自動車EQSと比較すると、総電力量はほぼ同等ながら体積で50%、重量で30%となっているというから、革新的なテクノロジーが投入されていることが理解できるのでは?

空気抵抗を極限まで減らす空力ボディ

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航続距離を伸ばすためには走行抵抗を軽減する必要があるのは言うまでありませんが、VISION EQSSのCd値(空気抵抗係数)は乗用車としては驚きの0.17を達成。ボディ後端を伸ばすことで空気抵抗を減らすというのは定番的手法ですが、この形状に至るノウハウとしては1930年代に製作した540Kストリーマーや、1970年代の実験車両C111での経験が活きているというのが歴史を感じさせます。ちなみにC111のCd値は0.183だったのですが、VISION EQSSのノーズ形状にその面影を残しているように思えるのは気のせいでしょうか。




駆動エネルギーを生み出すソーラーパネル

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ルーフに配したソーラーパネルによって駆動バッテリーを充電するというのは、すでにトヨタbZ4Xが搭載を発表している技術ですが、同様のテクノロジーはVISION EQSSにも採用されております。bZ4Xは年間1800km(単純計算で一日あたり5km程度)の走行に相当する発電量とアナウンスされているのですが、VISION EQSSでは一日あたり25kmを走ることのできる発電量を持つというのがポイント。これだけ太陽光発電で走れるとなると、日常的には充電せずとも運用できるかもしれません。



バッテリーtoホイールで95%の高効率 

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VISION EQSSの駆動方式はRWD。システム電圧は900Vで、バッテリーからタイヤまでのエネルギー効率は95%と非常に高くレベルに仕上げているのも特筆すべき点で、走行抵抗の小さなボディと相まって、電費性能は10km/kWhというのが目標値。モーターの最高出力は150kWとなっているのは、必要最小限に抑えているといったところでしょうか。


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バッテリーを小さくできたから、車体をコンパクトにでき、それが全体としての高効率につながっているという印象のVISION EQSS。インテリアの透視図から想像するにキャビンスペースも最小限となっているように思えますが、電費スペシャルマシンとして考えると、それもチャームポイントとなりそう。コンセプトカーですから、このまま市販されるということはないでしょうが、かなり市販を意識したスタイリングとも感じます。

プレミアムブランドの電気自動車というと、大出力のモーターと大容量のバッテリーを組み合わせた力技的な構成が目立つのですが、このように高効率といった方向性での技術進化をブランドイメージの向上につなげるというのもトレンドになって各社が競い合うようになるとコストと利便性から電気自動車を選ぶという時代になっていくのかもしれませんが、さて?



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精進します。

  




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