ボア94×ストローク86mm、総排気量2387cc。最高出力173kW/7000rpm、最大トルク250Nm/3700rpmというスペックの専用FA24エンジンを積む

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スバルとトヨタが先代につづいて共同開発したスポーツカーGR86/BRZがフルモデルチェンジ。いろいろな事情があってBRZが先行して正式発表されました。それに合わせて、スバルからは様々なプロモーションビデオが公開されておりますが、エンジン編といえるのがこちら。


このエンジンについては開発者の方から話も伺いましたが、たしかにフル電動化になってしまう未来に向けてエンジン開発リソースが割けなくなってくる流れにおいて、最後のスポーツNAエンジンであるという気持ちがあったことは言葉の端々から感じられたところ。そのポイントは、上に貼ったツイートでも書いたように、EGRの不採用とコンロッド大端部側の割り方にありと感じたのでした。



従来のFA20エンジンのコンロッド大端部は、いわゆるナナメ割りで、そのメリットはピストンとコンロッドをセットしてからエンジンに組み込んで、クランクシャフトとコンロッドを固定できるという生産性向上にあったわけです。当時から、それが運動性能的には理想というわけではなく「このパワーと許容回転数であれば問題ない」というのがエンジニアの見解だったと記憶しております。

しかし、新型BRZでは排気量アップと許容回転の高さによるパワー向上を目指したということで、大端部のもっともトルクがかかる部分のことを考えるとナナメ割りでは対応が難しいということで、オーソドックスな垂直割りとなったのでした。こうなるとエンジンに組み込む前にコンロッドをクランクシャフトにセットしておく必要があり、生産工程としてはエンジンに組み込んだ状態でピストンとコンロッド(小端部)にピストンピンを入れ、クリップで固定しなくてはならないわけです。このあたりスバルファンには当たり前の知識でしょうが、こうした工程を可能にするにはブロックの脇にサービスホールを開けておく必要があるわけで、つまりコンロッドの形状を変えたということはブロックの設計まで手を入れたという話であります。



さらに『新しいGR86/BRZが搭載するFA24型エンジンが高回転まで気持ちいい秘密はD-4Sにより実現した高効率な吸気ポートにあった』という動画のほうでも話しているように、排気量を増やしつつ、7000rpm以上までよどみなく回るようにするためにポート形状を最適化。その状態で低回転域や低負荷域で環境性能を維持するためにポート噴射と直噴を併用するD-4Sを採用しているのもGR86/BRZ用FA24エンジンの特徴。実際、新旧エンジンの加速性能の違いは誰でも体感できるレベルで明白であります。直上のツイートでも記したように新旧モデルの価格差はエンジンの進化分だけで元が取れると思うのですが、さて?





……などと余計な心配もしている今日この頃でありました。

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精進します。

  




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