海外では2017年に量産開始となっていた日産の可変圧縮比エンジン「VCターボ」が、ついに日本で発売開始?
こちらのYouTube動画をアップしたのは2019年5月、もう2年以上も前の話です。撮影したのは、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」だったと記憶していますが、なにが写っているのかといえば、日産の可変圧縮比エンジン「VCターボ」の作動状況。
2017年に海外向けモデルへの搭載が発表された「VCターボ」とはコンロッドのかわりにマルチリンク機構を使うことで、ピストン上死点の位置を可変させ、すなわち要求トルクに合わせて圧縮比を連続可変させるという、ある意味では夢のエンジン。
この映像は、そうした可変圧縮の様子をカットモデルを使って説明するという展示物でありました。とはいえ、当時は日産の国内向けPRセクションでは「VCターボ」については放置状態だった印象もあります。それが、このところ国内メディア向けの試乗会を開催するなどPR活動の動きアリ。つまり国内投入が近づいて来ていると予想するのが妥当でありましょう。
ちなみに、こちらに貼ったリンクは、上から2017年の登場時、2018年の人とくるまのテクノロジー展、2019年の人とくるまのテクノロジー展と、その時々での印象を記した拙ブログのエントリであります。振り返りということでご確認いただければ幸いです。
さて、そんな日産VCターボのメリットは大きくわけると「高効率・低振動・省燃費」の3つで、デメリットは複雑な構造によるコスト高といえましょう。なお、マルチリンク機構の採用によるフリクション増大というデメリットについては、膨張行程におけるピストン・サイドフォースの大幅低減化によって相殺しているというのが人とくるまのテクノロジー展で説明員の方にうかがった話でありました。
ピストンのサイドフォース(側圧)というのは、通常のエンジンでいえばクランクシャフトが斜め方向にピストンを動かすことで発生するもので、まっすぐ動けばほとんど発生しないといえます。冒頭に貼った動画を見ればわかるように、VCターボでは吸気・膨張行程においてピストンにつながっているアッパーリンクがほぼ垂直でサイドフォースをかなり抑制している様子が見て取れるのでは?
このアッパーリンクの角度コントロールは低振動にもつながるファクターというのが日産の主張。実際、カットモデルが動いている様子を見ていると、可変圧縮比(ピストン上死点の移動)よりもアッパーリンクの角度から感じられる低フリクションに注目したという記憶もあります。
そして、高効率と省燃費というのは、エンジンの熱効率のよさを違う方向から示すワードであって、ほぼ同じ内容を指しているともいえますが、その技術的なポイントはやはり可変圧縮比とバルブタイミングにより実現するアトキンソンサイクル(高膨張比)の2点。一般論としてターボエンジンでパワーを求めるとノッキングが起きづらい低圧縮比がよく、省燃費を追求するには膨張比の稼げる高圧縮状態がいいわけですが、そうした相反する要素をひとつのエンジンで実現できるということがVCターボが夢のエンジンと言われる所以でありましょう。
いずれにしても、日産の国内PRセクションの動きをみていると、日本導入も遠からずといった印象のVCターボ。ついに公道でその走りを味わえる日が近づいて来ているといえそうです。
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精進します。


こちらのYouTube動画をアップしたのは2019年5月、もう2年以上も前の話です。撮影したのは、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」だったと記憶していますが、なにが写っているのかといえば、日産の可変圧縮比エンジン「VCターボ」の作動状況。
2017年に海外向けモデルへの搭載が発表された「VCターボ」とはコンロッドのかわりにマルチリンク機構を使うことで、ピストン上死点の位置を可変させ、すなわち要求トルクに合わせて圧縮比を連続可変させるという、ある意味では夢のエンジン。
この映像は、そうした可変圧縮の様子をカットモデルを使って説明するという展示物でありました。とはいえ、当時は日産の国内向けPRセクションでは「VCターボ」については放置状態だった印象もあります。それが、このところ国内メディア向けの試乗会を開催するなどPR活動の動きアリ。つまり国内投入が近づいて来ていると予想するのが妥当でありましょう。
ちなみに、こちらに貼ったリンクは、上から2017年の登場時、2018年の人とくるまのテクノロジー展、2019年の人とくるまのテクノロジー展と、その時々での印象を記した拙ブログのエントリであります。振り返りということでご確認いただければ幸いです。
さて、そんな日産VCターボのメリットは大きくわけると「高効率・低振動・省燃費」の3つで、デメリットは複雑な構造によるコスト高といえましょう。なお、マルチリンク機構の採用によるフリクション増大というデメリットについては、膨張行程におけるピストン・サイドフォースの大幅低減化によって相殺しているというのが人とくるまのテクノロジー展で説明員の方にうかがった話でありました。
ピストンのサイドフォース(側圧)というのは、通常のエンジンでいえばクランクシャフトが斜め方向にピストンを動かすことで発生するもので、まっすぐ動けばほとんど発生しないといえます。冒頭に貼った動画を見ればわかるように、VCターボでは吸気・膨張行程においてピストンにつながっているアッパーリンクがほぼ垂直でサイドフォースをかなり抑制している様子が見て取れるのでは?
このアッパーリンクの角度コントロールは低振動にもつながるファクターというのが日産の主張。実際、カットモデルが動いている様子を見ていると、可変圧縮比(ピストン上死点の移動)よりもアッパーリンクの角度から感じられる低フリクションに注目したという記憶もあります。
そして、高効率と省燃費というのは、エンジンの熱効率のよさを違う方向から示すワードであって、ほぼ同じ内容を指しているともいえますが、その技術的なポイントはやはり可変圧縮比とバルブタイミングにより実現するアトキンソンサイクル(高膨張比)の2点。一般論としてターボエンジンでパワーを求めるとノッキングが起きづらい低圧縮比がよく、省燃費を追求するには膨張比の稼げる高圧縮状態がいいわけですが、そうした相反する要素をひとつのエンジンで実現できるということがVCターボが夢のエンジンと言われる所以でありましょう。
いずれにしても、日産の国内PRセクションの動きをみていると、日本導入も遠からずといった印象のVCターボ。ついに公道でその走りを味わえる日が近づいて来ているといえそうです。
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精進します。



