かつてスカイラインにダイムラー由来の4気筒ターボが載っていたこともあった

140526-01-07

かつてスカイラインにダイムラー由来の4気筒ターボエンジンが積まれていたり、ルノー・トゥインゴとダイムラーのスマートがアーキテクチャを共有していることからもわかるように、ルノー日産三菱アライアンスとダイムラーAGは幅広い分野において協業を進めてきているのですが、その関係は徐々に解消されるかもしれません。

というのも相互で持ち合っていた株の売却を発表したから。日産によると同社が保有していたダイムラーの全株式16,448,378株(11億4900万ユーロ相当)を手放すとのことであります。



この手のリリースでは定型ともいえる『本件株式売却後も、日産とダイムラーとの事業上のパートナーシップに変更はなく、この売却による影響はございません』という一文もありますが、徐々に関係をフェードアウトしていくという方針でありましょう。

そういえば、この提携によって日産は6気筒エンジンの自社開発を止めて、ダイムラー製エンジンを採用するなんて話もありましたが、そのあたりの話もとうにキャンセルされていたと読み解くべきでしょうか。もっとも、電動化時代ですから今さら新規でエンジン開発を行なうという計画自体、どこの自動車メーカーも持っていないかもしれませんが……。



それはさておき、今回のダイムラー株売却した資金を事業促進に向けた投資に使うという日産ですが、はたして売却益は生まれているのでしょうか?

ルノー日産アライアンス(当時)とダイムラーAGの株交換による持ち合いのスキームを発表した2010年当時のニュースリリースを振り返ってみると次の通り。

 
ダイムラーは3.1%相当のルノーの新規発行株を取得する。
ルノーは同社が保有する3.1%相当の日産の発行済み株式をダイムラーに譲渡する。
ルノーはダイムラー株の3.1%を取得する。
ルノーはこの内1.55%のダイムラー株を、日産との合意に基づき、日産が保有する日産株2%と交換する。
これによりルノーと日産はそれぞれダイムラーの自己株式の1.55%を取得することになる。
当時の時価評価額はルノー105億ユーロ、日産297億ユーロ、ダイムラー377億ユーロ。

この評価額とスキームでの取引から単純に計算すると、日産は2%の株(5億9400万ユーロ)を出して、5億8435万ユーロ相当のダイムラーAG株を手にしたわけで、当時の評価額としては等価交換。

いわゆる投資とは異なりますが、投資額としては5億9400万ユーロで、11年寝かせての売却額が11億4900万ユーロというわけですから、売却益は5億5500万ユーロとなかなかのもの。これは、協業云々は別として十分以上にいいタイミングで売却したといえるのかもしれません。

逆に日産の株価は2010年当時と比べると下がっておりますから、ダイムラーとしては含み損を抱えている状態となっているはずで、手放すタイミングを見計らっているのかもしれませんが、さて?


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精進します。

  




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