アクセル操作に対して「エンジン回転が先に上昇して、速度はあとからついてくる」のがラバーバンドフィールだとすれば、日常走行で味わう機会はないのでは? 



先日、モーターファンイラストレーテッド・特集「CVTの逆襲」という本にスバル・リニアトロニックについての原稿を寄稿したのですが、献本いただいた本を眺めていて感じたのは未だ自動車メディアの中の人たちには「CVTはラバーバンドフィールがあってリニアなドライビングの邪魔をするメカニズムだ」という信仰がうっすら残っているという点と、そうした批判を真正面から受け止めて、CVTエンジニアはリニア感を出すべく努力をしているという二点。

そもそもラバーバンドフィールというのは、非常にシンプルにいうと「エンジン回転が先に上昇して、速度はあとからついてくる」という症状を示す言葉と定義できるわけですが、はっきり言っていまどきのCVT車で、流れにのって街乗りをしている範囲では、そうした症状を感じることは皆無。たしかに構造的には、無段変速機であるCVTの場合は先にエンジン回転を上昇させてトルクの出る回転数を維持したまま変速比を連続的に変化させることで加速していくのは間違いありませんから、ラバーバンドフィール的な現象は出るのですが、それが果たして気になるレベルなのか? というのがこちらの動画の主旨。





 

ラバーバンドフィールがあるかないかでいえば、動画冒頭でも信号ダッシュをあえてしていて、そのときにエンジン回転が先に上昇しているのは音で確認できるので「ラバーバンドフィールはある」のは間違いありません。しかし、アクセルを全開にしているのはホンの1~2秒であって、それで十分に指定速度に達しますから、その際にラバーバンドフィールだ! とイライラするほどではないというのが個人的な印象。むしろMTで同じようにスムースな発進加速をしようと思うと、半クラ領域が広くなるので、じつは同じようにエンジン回転と速度が比例しない領域が出てくるであろうとも思うのでありました(ガツンとクラッチをつなぐとショックが出てしまうので)。

そのほか、いくつかのシーンでも示しているように、ここでサンプルとした1.5リッターエンジンのミニバン(ホンダ・フリード)であれば、街乗りにおいてアクセル全開というシチュエーションはほとんどあり得ず、したがってラバーバンドフィールを感じることもほとんどないであろうというのが結論。つまり、ラバーバンドフィールという言葉が先行しておりますが、一般ドライバーにとっては無縁の現象といえるだろうとも思うわけでした。

動画でも話しているようにアクセル開度がエンジンのスロットル開度を制御するもではなく、CVTのアクセルペダルというのは「ドライバーがクルマに求めている駆動トルクや加速度を伝えるための入力デバイス」という位置づけになっていて、なおかつ変速ショックがないので変速していることがわかりづらいのは事実。ですから、CVTの運転はそうしたメカニズムを前提にするといったように頭を切り替えられないと、そこに違和感を覚えると主張したくなるドライバーが存在することも、また理解できるわけですが……。

ところで、下に貼った動画でも話しているように、そもそも論としてラバーバンドフィールというのはステップATのトルコン(トルクコンバーター)が滑っている状態を示す言葉だったはずでCVTで全開加速をした際のエンジン回転数を一定のまま加速していく様を示す言葉ではなかったと思うのは自分だけでしょうか。





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精進します。

  




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