自動車部門の売上は272億ドル、純利益は7億2100万ドル、作ったクルマは50万台

2021-01-28 (2)

いまさら説明不要でしょう、アメリカに本拠を置くEVベンチャー「Tesla」がついに年間黒字を達成したという報道あり。さっそく同社が公開している決算発表のデータを見ていると、たしかに2020年の純利益は7億2100万ドルで立派な黒字となっているのでした。

ちなみに2019年の決算では年間で8億6200万ドルの赤字でしたから、単純計算で前年から15億8300万ドルも利益が増えたというわけ(そんなに単純な話ではないのは百も承知ですが)。

では、テスラ社の決算を見て、どうやって黒字になったのかを探ってみようというのが、このエントリの目的。ビジネスモデルとしては電気自動車で主体で、ソーラーパネルなどの販売も手掛けるという感じなのは前年から大きく変わったわけではないはずで、それで黒字化したということは単純にクルマがいっぱい売れたということなのでしょうか?


 

というわけで、気になるデータを2020年(カッコ内は2019年)で並べてみると以下の通り。 

自動車部門売上高:272億3600万ドル(208億2100万ドル)
うち排出権売上:15億8000万ドル(5億9400万ドル)
総売上高:315億3600万ドル(245億7800万ドル)
純損益:7億2100万ドル(▲8億6200万ドル)
フリーキャッシュフロー:59億4300万ドル(24億500万ドル)

やはり注目は排出権売上(ソースの資料では”regulatory credits”となっている項目)の増大でしょうか。ようはCO2排出量で目標値をクリアできないメーカーがテスラのクレジットを買ったぶんの利益が15億8000万ドルもあったという話。

ゼロエミッションビークルしか生産していないテスラなので作った台数に比して排出権を売ることができるといえますから、生産台数が増えればクレジットの売上も大きくなるというわけです。そして、排出権の部分だけで前年より10億ドルほど売上が増えているということは、これがそのまま純利益になるわけで、なるほど純損益を見たときに前年比で15億8300万ドルも増えているのも納得。

この数字が排出権売上とほぼ同額なのは偶然でしょうが、逆ににいえば多くの自動車メーカーの電動化が進み、いわゆるCAFE規制をクリアできるようになって排出権を買わないようになると、テスラは赤字に転落することも自明。

その意味では、ギガファクトリーへの投資をしつつ、排出権取引によってキャッシュを手に入れることができるうちにしっかりと黒字化するめどを立ててきたのが2020年のテスラだったというところでしょうか。


なお、こちらのページでは過去の決算報告書も見ることができますので、気になる方はどーぞ。



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精進します。

  




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