いまから社会インフラを整備をするとして15年あればゼロエミッションビークル社会に移行できる……のか?
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報道によるとイギリス政府がガソリン車とディーゼル車の新車販売を2035年に禁止することを発表したそうで。以前の発表から5年前倒ししたのに加え、販売禁止の対象にはハイブリッドカーも含めたというのが、今回の発表の肝。プラグインハイブリッドについての言及は不明ですが、基本的にはゼロエミッションビークルだけの新車販売に絞るという話でありましょう。

なぜなら、この流れでプラグインハイブリッドカーを対象に入れたとしても、その運用はEVと同様になると考えられるから。この発表(決定)が揺るがないものだとすると、平均車齢を15年だと仮定しても2050年前後にはガソリンスタンドというビジネスモデルはほぼ不要になるわけで、そんな終わりの見えているビジネスに固執する経営者がいるとは思えないから(一部に趣味で残す人はいるかもしれませんが)。




ガソリンスタンドというエンジン車を動かすために必須のインフラが、今回の発表を機に整理をはじめるとすると2035年にプラグインハイブリッドを出しても「どこにいって燃料をいれればいいのさ?」という話になるでしょうし、ユーザーも減っていくだけのガソリンスタンドを頼りにするモビリティを求めるとは思えませんので。いま時点の感覚でいうとEVの充電スタンド不足、FCVの水素ステーション不足のほうが問題に思えるでしょうが、この決定でインフラビジネスの方向性がかわったと捉えるほうが妥当でありましょう。

これから段階的にガソリンスタンド的なビジネスを畳んで、電気になるのか、水素になるのかわかりませんが、ゼロエミッションビークル向けのインフラ整備が進むはず。その際に同じプレーヤーが設備を変えるのか、プレーヤーの交代があるのかはわかりませんが。そもそも、CASEという今のトレンドからすると2035年には少なくとも乗用車については所有からシェアリングへと主流は変わっているでしょう。インフラビジネスはそれ単体で成り立つものではなく、シェアリング業者と一体化する可能性もありそう。

もっとも、2035年までにシェアリング用のゼロエミッションビークルを揃えることができるのかというのはネックでしょうし、それに対応するメーカーが存在するのかというのも疑問。イギリス全土で必要とされる数がどれほどになるのか想像もつきませんが半官半民みたいな企業でないと成り立たないかもしれません。いずれにしても、こうして発表してしまった手前、動き出したら大きなイナーシャとなるので、途中で方向展開しようにもいかなくなるはず。果たして、ゼロエミッションビークル化に向かうイギリス社会がどのような課題を顕在化させるのか興味津々であります、ハイ。

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精進します。
  




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