10年前と比べて35%減はAEBの効果? 65歳以上高齢者の死者数は1,782人
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警察庁が令和元年(2019年)の交通事故死者数など交通事故発生状況の数値を発表。それによると、交通事故件数は381,002件(前年430,601件)、交通事故負傷者数460,715人(同525,846人)、そして交通事故死者数は3,215人(同3,532人)と3つの項目すべてで減少しているのでありました。

医療の進化により死ななくなっているのではなく、交通事故そのものが激減しているというわけです。


 事故件数、負傷者数は前年比マイナス12%台となっておりますので、それに比べると死者数の減少ペースは緩やかという見方もできますが、なんにしても9%も減ったというのはかなりのハイペース。2009年の交通事故死者数が4,979人でしたから10年で35%減といったところでしょうか。この勢いであれば10年後には1000人台となることもあり得るといえそう。交通事故死者をゼロにするのは、すべての自動車メーカーやユーザーの目標といえますが、それが夢物語ではなくなりそう。


こうした交通事故の減少には、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)のようなテクノロジーが大いに役立っていることは容易に想像できるところで、技術によって事故を減らしているといっても過言ではないでしょう。正直、一年でドライバーのマナーやスキルが向上するとは思えませんし、また日本においてはドライビングテクニックにおいて衰えが隠せない高齢ドライバーも増加傾向にあるわけですから。ヒューマンエラーを機械がカバーすることで事故が減ったと考えるのが妥当であります。

ところで、2019年の交通事故死者数3,215人のうち、65歳以上の高齢者は1,782人と半分以上。人口分布でいうと65歳以上は29%前後となるはずなので、人口比以上の死者数というわけ。高齢者には交通事故リスクが大きいといえます。逆にいえば高齢者の関係する交通事故を減らすことが交通事故死者数の減少につながるといえますでしょうか。

なお、交通事故死者数は第一当事者ではなく亡くなった方ですから高齢ドライバーが死んでいるということではなく、その多くは歩行中の高齢者であると考えるべき事案であります。一般論として同じような衝突事故であっても、若者ならばかすり傷で済むものが、高齢者は受け身がとれずに大きなケガや死につながることがあるため”亡くなりやすい”傾向にあることも考慮しないといけないのでしょうが。もっとも、人口10万人当たりの高齢者死者数は2009年が8.80人で2019年が5.01人ですから確実に減っているので、いまの対策は適切に効果を発揮しているといえそうではあります。


歩行者と自動車(四輪車)に関する事故はテクノロジーによって減らせる目途はたっているといえますし、2021年からは歩行者を検知できるレベルのAEBが義務化になる流れなので、ますます交通事故そのものが減っていくはず。おいおいオートバイ(自動二輪)にもAEBを装着する流れが波及するのかもしれません。そうなると、先進安全テクノロジーの搭載が難しい自転車をどうするのかという課題が出てきそうと予想しているのですが、自転車の利用を制限するということはあり得るのでしょうか?


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精進します。
  




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