内燃機関、電動にかかわらず「気持ちのよいドライブフィーリング」は変わらないを実感
ホンダのハイブリッド専用車として三度市場に登場したインサイト。その新型モデルの試乗レポートでは「自然」、「普通」といったニュアンスの言葉が多く使われているだろうと思う。けっして褒めることがないから、そうした表現を使っているのではなく、大袈裟な演出なくドライバーの意思通りの走りを実現しているから、そうした表現を使わざるを得ない。どうしても特徴的な走りの表現ばかりが細分化して発展していった自動車ジャーナリズムにおいて、普遍的な価値を表現するボキャブラリーが不足しているからこその「自然」や「普通」の多用ということではないだろうか。
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言わずもがな、新型インサイトは市街地走行においては100%電気モーター駆動といっていい2モーターハイブリッドシステムを搭載している。もともと電動化パワートレインは内燃機関に対して、発進トルクや全般的なレスポンスにおいて有利であるし、そのためアクセルペダルの操作に対する出力のさせ方についてもセッティングの自由度が高い傾向にある。であれば、ドライバーが「自然」で「普通」に感じるような味つけにするのはお手の物というわけだが、新型インサイトの走りで注目すべきは、そのフィーリングが単純に「よくできたエンジン車のそれ」を再現したわけではないということ。

エンジン車のフィーリングを再現しようとすると、シフトショックであったり、エンジンノイズであったりを演出として入れたくなるが、そうした走りの雑味になる部分は極力排除している印象を受ける。あえて言うならば、非常によくできたエンジン車のグッドフィーリングの領域を拡大したのが、インサイトの運転感覚だ。一例をあげると、大排気量エンジンで直結ギアを選んでいるときに感じるシフトダウンせずにスーッとグッと加速していくフィーリングを、幅広い速度域において再現しているといったらいいだろうか。その意味ではエンジン車の価値観には近いが、良いフィーリングを常に感じていられるのが新型インサイトの走りだ。
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電動車両とエンジン車、それぞれの良いところを抽出することで、普遍的な価値をホンダのエンジニアは見つけたのではないか? バランスよく走りがセットアップされた新型インサイトに乗っていると、そうした思いにたどりついた。この走り味をホンダの味として展開していくことは、ホンダのブランディングになるだろうとさえ思う。

シビックと共通プラットフォームという先入観から、シビック(エンジン車)に対して、ハイブリッドらしい電動フィールを前面に押し出しているのでは、という思いはいい意味で裏切られた。新型インサイトは、ホンダ車が新しいステージに上がったことを示す一台なのかもしれない。
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精進します。
  




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