
三菱自動車の2015年10月販売実績などの速報を眺めていて、あらためて日本メーカーとしての歪みを感じた次第。
まず、国内生産57,784台に対して、国内販売6,827台というのは、あまりにも輸出及びOEM超過といえる印象。しかも国内販売には、OEM車や海外生産モデルも含まれるわけですから。ちなみに輸出先としては、欧州が13,768台と多く、ついで北米(5,029台)、アジア(2,850台)の順。三菱といえば東南アジアで人気ありという印象ですが、アジア向けは現地生産が加速しているので、それほど輸出は多くないのでありましょう。
さて、国内販売について、同社が発表している主な内訳は以下の通り。
『パジェロ』 ( 102台 : 前年比 65.4% ) * 2006年10月4日発売なんといっても、アウトランダーPHEV(引用の太字は当方で加工)が圧倒的に売れているのは、プラグインハイブリッドの3モーターAWDという商品力がオンリーワンのものだとはわかっていても、あまりにも突出しているというか、同社ラインナップの中では高価格帯のモデルの売れ行きに対して、他の車種があまりにも売れていないというか、という印象。
『デリカD:5』 ( 596台 : 前年比 90.3% ) * 2007年1月31日発売
『デリカD:2』 ( 164台 : 前年比 53.2% ) * 2011年3月10日発売
『ミラージュ』 ( 179台 : 前年比 81.0% ) * 2012年8月31日発売
『アウトランダー』 ( 441台 : 前年比 479.3% ) * 2012年10月25日発売
『アウトランダーPHEV』 ( 1,145台 : 前年比 212.8% ) * 2013年1月24日発売
『eKワゴン・eKカスタム』 ( 1,869台 : 前年比 111.4% ) * 2013年6月6日発売
『eKスペース』 ( 804台 : 前年比 71.4% ) * 2014年2月13日発売
日本の自動車マーケットが、廉価モデルが売れるという市場でないのは、登録車においてはトヨタ・アクアが売れ続けていることからも明らかではありますが、それにしてもアウトランダーPHEVやデリカが売れている状況は、いわゆる「どこのクルマでもいい」というこだわりの薄いユーザー層をキャッチできていないのでありましょう。
もちろん、かつてパジェロやデリカの大ヒットで稼いだ三菱自動車。「動けばいい」といったコモディティ的なモデルの販促からは距離を置いて、付加価値のある商品にリソースを集中するのが、同社のビジネスモデルなのかもしれません。
もっとも10月に実績についていえば、ガソリンエンジン車のアウトランダーも前年比で大幅増ですので、ビッグマイナーチェンジによる瞬間風速的な部分もあるのでしょうけれど……。
というわけで、国内生産に対する輸出比率の高さ、車種別販売台数のバランスにおいて、いまの日系自動車メーカーとは異なるビジネスモデルに見える三菱自動車。あらためて、その未来が気になる今日このごろなのでした(汗)
参考リンク:三菱自動車 2015年10月度 生産・販売・輸出実績
http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/ir/2015/news/detail4940.html
精進します。



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