新しいフォード・マスタングをちょい乗りする機会に恵まれましたので、感想を商業原稿風メモとして。


予備知識なしで乗り込み、エンジンをかけ、アイドリング音を聞いているとV型エンジンかと思わせる音作りをしていることに、思わずエンジンスペックを確認してしまう。

もちろん、最新のアメリカンスポーツの心臓部は、ダウンサイジング過給トレンドの4気筒「エコブースト2.3」。とはいえ、最高出力は314馬力というから環境重視のダウンサイジング過給エンジンにとどまっていないのは明らかだ。

314馬力と聞けば、それなりのパフォーマンスを想像してしまうが、意外にそれほどではない。1.6tを超える車重もあり、高速の合流などで感じる加速感は3.5リッターV6級のジェントル感もある味わいといったところだろうか。

そのエコブースト2.3にセットされるトランスミッションは6速AT、もちろんパドルシフト付き。ただし、こまめにシフトチェンジを求めてくるようなトルク特性ではないので、ATに任せっぱなしでパフォーマンス的には問題ないのであるが、その際にどことなく空走感があるのは気になる部分だ。

タイヤがしっかりと路面に食いついていない感覚が出てくるシーンもあるため、パドルシフトでシフトダウン、トラクションを確認することで安心感が生まれるという駆動系の味付け、という印象も受ける。

こうした空走感、いや浮遊感といったらいいだろうか。それはハンドリング面でも感じるのである。

おそらく、こうした、なんともいえない不安感を生み出しているのはタイヤの面圧不足だ。

前後とも255幅のタイヤを履いているのだから、グリップが不足しているはずはない。むしろドライバーが思いのままにハンドルを切れば、クルマは曲がっていくし、市街地レベルの速度ではスキール音を発する気配もない。

おそらくサーキットレベルまで意識したサイズのタイヤは、ハードなコーナリングなど外輪の摩擦円が大きくなったときまでを考慮したサイズと構造ゆえに市街地を走る範囲の荷重ではタイヤを適切に潰すことができず、常に面圧が薄い状態という感触がつきまとうのであろう。

前述したように低いギアでタイヤにトルクを与えると安心感につながるというのは、リア荷重を増やすという意味合いである。一方、フロントタイヤについて。旋回へのアプローチであれば、減速により面圧を増やすことができるが、たとえば、高速道路を真っ直ぐに走っている際の、わずかな浮遊感を運転により解消するのは難しい。

そうした高速巡航時のフィーリングの対策は、物理的に面圧を増やすほかないだろう。具体的にはフロントのタイヤ幅を狭くするなり、銘柄を変えて構造的な剛性を落とすことが効きそうではあるが……。

なお、車検証の前後軸重によると前後重量配分は54:46。フロントのほうが軽いわけではないが、V8エンジンを搭載するグレードでは、同じような感覚があるのかどうか。

2015年後半にも日本導入されるというV8マスタングのフロントがどれほど重くなるのかはわからないが、それによってフロントタイヤの感触がどのように変わるのか、いまから気になるチェックポイントだ。



2015-05-26-15-59-45
 
というわけで、ルックスを考えなければ225~235幅で17~18インチのタイヤが合いそうな気がするマスタングでありました。

そして、このクルマに乗る機会を得たのは、こちら。「スポーツカーのすべて」という紙媒体でのお仕事。試乗記を寄稿しているわけではありませんが(汗)


精進します。













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