東京モーターショー、おかげさまで関連本の原稿仕事がいくつかありました。いまやコンセプトカーをドカドカ並べるという時代ではなく、モーターショーの事前情報本にしても、キーになるコンセプトカーはありつつ、出展車両の多くはフルモデルチェンジ直前直後のニューカー、そしてマイナーチェンジの先出し展示だったりする時代。


というわけで、日産はセレナとエルグランドという2台のミニバンのマイナーチェンジ車両を展示。セレナは衝突回避支援システムも搭載するそうで、ぶつからないミニバンとなる模様。


さらにトヨタは、ノア/ヴォクシーのフルモデルチェンジを控え、コンセプトと名づけた先見せモデルをモーターショーで披露とのこと。

この基本5ナンバー枠のミニバンというカテゴリーは、ボディサイズが制限されるせいでシルエットが似てしまうのは仕方ないにせよ、アピアランスそのものが似てきている印象。

そこで、ステップワゴン、セレナ、ノア・コンセプトの3台を並べてみると……
5number_minivan

並べれば違いは明確なれど、やはりシルエットはかなり似ている印象。ルックスに関してはヘッドライトやグリルといった部分での違いに注目しがちですが、せっかく並べてみたので気にしたいのはAピラーの形状。

この部分のデザインに視界を確保するというファミリーカーに重要な狙いが見え隠れするはずで、それは現代のファミリーカーとして、どれだけ本質的な部分に注力しているのかを判断する、ひとつのヒントになるのでは? などとも思う次第。

視界というのは、個人の体型などによってベストに近いものが変わる部分も否めないので、どれがどうとはいえませんが、個人的にはAピラー回りでいえばセレナの視界を広くしようと見せている感じに好印象ではあります。

ただ、ワゴンR、ムーヴ、デイズ/eKワゴン、そして東京モーターショーで披露されるホンダ・N-WGNといった軽ハイトワゴン・カテゴリーにおいては、5ナンバーミニバンに比べると、各車の個性がエクステリアで主張されていて、もっと区別しやすいというか、各車のキャラクターが強い印象もあり。それなりに違いはあるのですが、5ナンバーミニバンの差別化は、軽トラのそれと同じレベルというのと大差なしと感じてしまうのです。昔は、もうちょっと違うクルマに見えるように工夫していたようにも思うのですが……。


などともツイートしたのですが、まさしく「どれを選んでも大差ない」という雰囲気を、外観から醸し出してしまっていることがマーケットの刺激をスポイルし、市場がシュリンクしているような印象を与えているのかもしれない、などとも思うのでありました。

競争あるところにユーザーの注目は集まり、それが市場の拡大につながるという循環を軽自動車に感じる昨今だけに、余計にそう思うのかもしれませんけれど。