先日もココで書きましたが、やたらと評判のいい新型ムーヴに乗ったのです。
たしかにリアシートの足元は広い。ハンパなく広い。そして意味なく広い。
広いのはいいのですが、もはや広いだけで人の乗るスペースとしては空虚すぎる印象。意味を感じません。
ただチャイルドシートに子供を座らせる作業や、その状態でミルクをあげたりすることを考えると、かなり有効だとも思ったり。

そして、この広大なリアスペースを実現した新開発プラットフォームは走りの面でも先進的な印象。あくまでイメージですが、コーナリング時に感じる重心位置が先を行っている感じなのです。とくに縦方向の重心に、そうした印象を受けます。
個人的な感覚を、あえて具体的にいうと
旧来のFFシャシーの軽自動車では三次元的に感じるロールの中心点がエンジンのヘッド辺りにあるような感触ですが、
ムーヴのそれはフロントシートの座面あたりに感じます。ちょうどドライバーの腰あたりにロールの中心点があるようなフィーリングです。
実は、このロールの中心点がエンジンルームからキャビンに移動してきているのが最近の軽自動車の特徴だと思っているのです。とくにダイハツとホンダに、こうした傾向は強いように思いますね。

で、ムーヴのコーナリングはちょうど腰を中心にロールしているような感覚なので、少々ロールが大きくても違和感や恐怖感はなし。すごく素直に動くクルマに感じるわけです。こりゃ確かに評判がピカイチなのも納得。

でも諸手をあげて誉める気にもなれません。なぜなら試乗したムーヴのXグレードの走り全体の印象は「ギクシャク感」が強いものだったから。
その原因はパワートレーンが洗練されすぎていること。洗練されているのなら悪くはないでしょ? と思うかもしれませんが、その洗練というのが10・15モード燃費への意識が高い洗練なのがネガティブポイント。つまり10モード燃費計測のターゲット速度である40km/hでの燃費を稼ぐべく、シフトアップとロックアップ制御が早くしてあるような気がするのですね。そのため、慣れるまでは40㎞/h手前くらいの速度域から加速する際に、いちいちキックダウンしてしまってかえってイライラする感じなのです。ミッションがCVTになるグレード(Xリミテッドなど)であれば問題ないのでしょうが、価格的にも売れ筋と思われる4AT搭載グレードでの、このギクシャク感は気になるところ。それにエンジン自体も予想よりトルクが薄い印象。
個人的に、このKF-VEエンジン+4ATの組み合わせを最初に乗ったのはエッセだったのですが、そのときには十分すぎるトルク感だと思っておりました。
しかし、いざムーヴで味わってみると、ちょっとトルクが足りない感じ。たしかにエッセに比べれば重量がプラス100kgとなっていますから仕方ないのかも知れませんけど……。
ともかくCVTグレードに乗っていないので結論は出せませんが、現段階では三菱i(アイ)のNAエンジン+4ATのパワートレーンのほうが乗りやすさでは勝っているようです。もっともムーヴのパワートレーン、燃費性能ではかなりの高レベルの予感がします。