クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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2018年05月

トラック用24V鉛バッテリーを置き換える? SCiBの新製品

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トラック用? それとも? 東芝の24V置換型SCiBバッテリー
人とくるまのテクノロジー展に行くと、なんとなしに毎年定点観測しているのが、東芝のリチウムイオン電池「SCiB」で、2017年はパッケージの変化やら高入出力タイプの登場などが記憶に残るわけですが、2018年は24Vバッテリー(リンク先はpdf)が新作(画像の右側)として出展されておりました。

24Vバッテリーと聞くとトラック用を思い浮かべるところで、いわゆる鉛バッテリーをリチウムイオン電池に置換するという用途に向くタイプ。こうした手法は、軽量化のためのチューニングとしては見慣れておりますが、この製品に関していえばメインの目的は長寿命なのだとか。もちろん重量的にも約1/4と軽量化されておりますが。また、単に置き換えるだけでなくバッテリーと通信できる端子が用意されているのもポイントでありましょう。さらにBMU(バッテリーマネージメントユニット)を内蔵することで、保護機能を実装しているほかセル間のバラツキを調整する機能も持っているというのは安心要素でありましょうか。

もっとも、トラック用24Vバッテリーの置換というよりは、工場内で稼働する無人搬送車(電動)など産業機器での置き換えを前提としているからこその通信機能だったりするわけですし、SCiBの持つ繰り返し充電して使ったときの長寿命というメリットが生きてくるわけです。ちなみに使用温度の上限が45度らしいので、実際にはトラック用バッテリーの置き換えはむずかしいというべきでしょうか…。

【追記】
2019年に量産予定されているSCiBの新製品「SAP24」はバス・トラックなど24V車の置き換えに対応しているそうですから、そうした温度の問題はなさそう。ちなみに重量は28kg、12V鉛バッテリーを直列でつなぐことを考えると、半分以下の重さとなりそうです。

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日産のVCターボエンジンは「秒単位」で圧縮比を可変させる

「人とくるまのテクノロジー展2018 横浜」で日産の最新エンジンについての情報をアップデート
以前から興味津々だった日産VCターボ(可変圧縮比エンジン)について、その開発に関わったであろう解説員の方に、いくつかの質問をぶつけることができたのでした。たとえば、このエンジンはリンクによって上死点位置を5mm程度動かすことで圧縮比を変えているわけですが、それ以外にもヘッド側(燃焼室)を可変にすることやピストン自体をスライドタイプにすることでも可変圧縮比エンジンは可能になるはず。そうしたアプローチについてうかがったところ、いずれも考察はしているとのこと。しかし、前者は燃焼室面積の可変化による放熱の問題があり、後者は単気筒ではありかもしれないが4気筒エンジンではスライド量のコントロールがむずかしいということで可変圧縮比を実現するためのメカニズム候補から落ちたのだとか。
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※画像は展示されていた可変圧縮比エンジンの模型

そして、もうひとつにして、最大の気になっていた点が「圧縮行程と膨張行程において圧縮比を可変できるのか」ということ。ようは、このマルチリンク機構によりミラーサイクル(高膨張比)が可能なのかどうか、という疑問であります。その質問への回答は残念ながら不可能というもの。圧縮比を可変させるのはイメージ的には「秒単位」だそうで、ミラーサイクルを可能にするようなレスポンスはないという話。バルブタイミングは電動可変タイプなので閉じるタイミングによるミラーサイクル効果は可能なのでしょうが……。

なお、現時点で市販しているのは北米仕様のみで、北米のハイオク(ガソリンオクタン価としてはRON98程度)での使用を前提としているそうですが、間違えてレギュラーガソリンを入れた場合には可変圧縮比の上限を下げることで対応するのだそうで。そのためにいろいろとレギュラーガソリン用マップを仕込んであるといいますから、かなり手間のかかったエンジンといえそう。ちなみに、ノッキングが起きた際には、まずは点火時期で対応するのが基本。瞬時に圧縮比を落とすようなことはしていない(できない)のは、前述した「秒単位」の圧縮比変化というレスポンス的に納得といえましょうか。

なお、北米仕様(INFINITE QX50)での最高出力は200kW程度、最大トルクは380Nm足らずと2.0リッターのハイパフォーマンスエンジンとしては、ライバルを凌駕するほどではありません。このあたりは、まだまだ初物ゆえにかなりマージンをとっている、という印象でありますが、さて?

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エアコン・オン/オフによる航続距離や燃費への影響を可視化すべき?

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エアコンを使用すると航続可能距離が7~8%減になるというEVの宿命
初代リーフの後期型を手に入れ、チョイノリを繰り返しております。エンジン車では暖機も終わらないような近距離でも気軽に乗れるのはEVの乗っている精神的なメリットだなあと実感する日々でありますが、とはいえエンジン車に対して航続距離が短いのはいかんともしがたいウィークポイント。しっかり12セグが残っている30kWh仕様でも、満充電での航続可能距離は200km弱の表示でありますし、さらにエアコンを使用すると7~8%減になると明示されているのを見ると、ついつい窓を開けてしまうという選択をしてみたり。

とはいえ、エアコン(冷房)によって航続距離が短くなるというのはエンジン車でも同様。EVは駆動・空調・その他電装品と明確に消費電力をわけることができるのでわかりやすいですが、エンジン車であってもコンプレッサーを駆動するのはクランク出力ですから燃費へのネガティブな影響があるわけです。なお、暖房に関しては冷却系の熱を利用するので燃費への悪影響は少ないのでありますけれど。そんなわけで、エンジン車におけるエアコンの消費エネルギーについては、なかなか数値化するのは難しいのでしょうが、リーフのように航続可能距離への影響を明示すると、無駄に冷房を使わずに済むかもしれません。まさしく、過ごしやすい五月の陽気に、そんなことを思うのでありました。

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走行抵抗の小さい大径・高圧・狭幅タイヤを履いてみたい

大径・高圧・狭幅タイヤへ合法的に交換することは可能になるか?

転がり抵抗を30%も低減できるというブリヂストンの大径・高圧・狭幅タイヤ「オロジック」。そのテストムービーが公開されたのは、もうずいぶんと前のこと。あらためて日産リーフを手に入れたオーナーの立場として、この映像を眺めてみると、オロジックが欲しくなるというのが正直な気持ち。タイヤを変えることで少しでも航続距離が伸びるのはウェルカムです、とくにEVにとっては。

ただし、現行の保安基準でいうと少なくともタイヤ外径と速度レンジ、そして荷重指数(ロードインデックス)はノーマル値と同等であるというのが前提で、155幅くらいの大径タイヤで90前後のロードインデックスを確保できるのかどうか。BMW i3用オロジックタイヤのスペックを見る限りは9掛けくらいのロードインデックスになりそうなので、車検対応という視点からの合法的交換というのは難しいのかな、という印象ですが、さて?

その意味でも、薄くて強いタイヤを作れるであろうブリヂストンの新技術「HSR」には注目なのでありますが……。

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【動画】スバル新型フォレスターの「ドライバーモニタリングシステム」

シートポジションメモリーとも連動する新型フォレスターの顔認識システム
北米や中国のモーターショーにて発表されているスバルSUVの中核モデル「フォレスター」。ついに日本でも先行予約がはじまったわけですが、あわせてグレード展開や特徴的な機能についての情報が公開されております。中でも注目は「ドライバーモニタリングシステム」、以前のエントリでも触れたように、ドライバーの居眠りやよそ見を検知するシステムで、レベル2の自動運転(スバル的には運転支援システム)をより安全に行なうためのもの。先般、テスラ車がレベル2自動運転技術であるオートパイロット作動中に大きな死亡事故につながったことが話題となりましたが、もしその原因のひとつがドライバーの居眠りだったとしたら、こうした検知システムにより防げる可能性があるかもしれません。

もうひとつ、動画の後半で紹介されているのがドライバーを識別して、シートポジションなどを自動でメモリされている場所に合わせる機能。つまり、この顔認識システムはまぶたを閉じたり、視線が前以外を向いていたりといった状況を検知するだけでなく、顔自体の違いを認識できる機能を持っているということ。

居眠りを検知して注意を促すというのは、日常的に作動する機能ではありませんが、こうしたおもてなし機能というのは日々実感できる機能。もともとアイサイトも衝突被害軽減ブレーキという万が一の機能が主役ながら、ACC(先行車追従クルーズコントロール)の利便性によって普及に弾みをつけ、スバルのアドバンテージとしたように、新型フォレスターに初採用される「ドライバーモニタリングシステム」も他社と差別化するキラーデバイスとなるのでありましょうか。

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日本車のディーゼル離れ、というけれど……

マツダは2020年頃にSKYACTIV-Dを第二世代に進化させる!
フォルクスワーゲンの、いわゆる「ディーゼルゲート(不正事件)」以来、ディーゼル離れが進んでいるという論調が増えているよう。実際、日産が欧州市場からディーゼルを撤退するという方針を明らかにしたという報道がありましたし、トヨタ、ホンダ、スバルの各社もディーゼルから距離を置こうという雰囲気。とくにスバルはずいぶん前に出したブロックで、しかもガソリン4気筒とはボアピッチも異なるユニットなのでフェードアウトするのは既定路線かもしれません。ホンダの1.6リッターディーゼルは開発のタイミングを考えると、もう少し使わないと元がとれない印象もあったりと個別に事情は異なるのでしょうけれど。

一方、ディーゼル離れとはまったく関係なさそうなのが内燃機関に賭けるマツダ。SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用するSKYACTIV-Xというまったく新しいガソリンエンジンを示したことで、クリーンさと熱効率の両面からディーゼルの必要性を感じさせない印象もありますが、同社のパワートレイン・ロードマップにはしっかりSKYACTIV-Dの第二世代版のローンチが2020年~と書かれているのでありました。すでに第一世代SKYACTIVのアップグレードが始まっているわけですが、第二世代になってどれほど進化するのか。SPCCIではA/FではなくG/F(酸素ではなくEGRを含めたガス全体の量と燃料の比)で制御するという新しいアイデアを生み出しただけに、そうした知見が次世代ディーゼルにどのように活かされるのか、興味津々なのでした。

なお、以下の動画はマイナーチェンジ前のCX-5(現行型)のエンジン。いまはCX-8と同様のアップグレードを受けております。

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