クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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2018年05月

量産へのカウントダウン? DENSOのSiC半導体を使ったインバータがお披露目

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人とくるまのテクノロジー展、記憶の範囲でいえば直近10年以上は足を運んでいるはずで、そうなると”ある技術”が、毎年のようにアップデートされてきている様を見ていることもあるのですが、そうしたひとつがデンソーブースのSiC半導体。これまでウエハのカタチでの展示が続いていましたが、2018年はついに製品(インバータのプロトタイプ)へと進化していたのでありました。2014年にトヨタが発表したSiC(シリコンカーバイド)半導体が徐々にカタチになってきた、というところでしょうか。

それにしても、各社が開発しているであろうロスの少ないSiC半導体ですが、今回の展示を見る限りトヨタグループがリードしているようで、電動化時代へのアドバンテージとして着々と歩を進めていると理解しておいてよさそうです。
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試作品として展示されていた両面直接冷却の2in1パワーモジュールの効率も気になるところ。当面はインバーターの冷却性能が、性能差を生み出すキーテクノロジーとなりそうなのでした……。
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ベンチレーテッドディスクのフィン形状にも改良の余地あり!

フィンを分割すれば熱伝達率は上がるが、空気を取り込むポンプ性能は落ちるという
人とくるまのテクノロジー展2018横浜にて。アイシングループのブースで見かけたのが、ベンチレーテッドディスクのカットモデル。もちろん、出展元は同グループにおけるブレーキのスペシャリスト、アドヴィックスであります。
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ベンチレーテッドディスクの内側にあるフィンを分割、見えている部分だけで数えても長い(外側)の方が11個、短い(内側)方が9個となっていて、単純に分割しただけではなく、そこに意味があることは想像できるのですが、果たしてその狙いはというと……、フィン自体の熱交換率と、フィンが空気を取り込むポンプ性能のバランスの最適解を解析したのがこの形状だ! という展示。

フィンの熱交換性能については先端の表面積を増やすほうが有利なので、分割すればするほど放熱性能は上がる。しかし、フィンを分割すると空気を取り込む能力が落ちてしまう。だから、その最適バランスを見つけることが熱交換器としての性能アップにつながる、というお話であります。
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ブレーキディスクの設計というのは、熱交換器としての性能、軽さ、(熱による)変形、もちろんコストなど様々な要求性能を満たす必要があるので、各社独自のノウハウがあって「鉄の円盤」というイメージよりはずっと難しく、またサプライヤーごとに性能差があるという話を聞いたこともありますが、フィン形状ひとつをとっても、こうして相反する性能の最適解を検証しているのでありました。

そして、アフターパーツとして高性能ディスクと呼ばれる商品は多く出ていますが、このあたりまで考慮している製品がどれほどあるのかも気になったりする今日この頃です、ハイ。
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それにしても、人とくるまのテクノロジー展は毎回毎回おもしろい!
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なかなか量産に進まない、NGKのターボエンジン用高着火スパークプラグ

「人とくるまのテクノロジー展」といえば、最新テクノロジーのショーケースとばかりに自動運転やADAS、エレクトリックドライブ関連に注目が集まりがちですが、どっこい従来からある、もはや進化の余地は残されていないと思えるような分野も着々と進化しているのでありました。数年前からウォッチしているスパークプラグ分野も、そのひとつ。

NGKのターボエンジン用高着火スパークプラグは、中心電極にイリジウム合金のチップを、L型の接地電極に貴金属合金のチップを溶接することで、着火性と耐久性を向上させているというもの。なかなか「開発中」の文字が取れないのは、おそらくこの商品がアフターパーツとしての市販化ではなく、OE納入を目指している系の商品だからでしょうが、それにしてもそろそろ納入実績が生まれてもよさそうな気もしてみたり。

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そしてスパークプラグ(点火プラグ)といえば、じつはヘッドの冷却性やバルブや直噴インジェクターのレイアウトに影響大のパーツ。いずれにしてもプラグを細くすることで、ヘッド周りのメカニズムに設計自由度が増すわけで、パーツ自体の存在を限りなく減らすことが、スパークプラグメーカーの存在感を増すことにつながるのだなあ、などと思ってみるのでありました。

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2018年、HKS電動スーパーチャージャーの未来

ターボラグを解消するための電動スーパーチャージャー、ラグがあるほど大きなタービンでこそ活きる?
2018年の人とくるまのテクノロジー展@横浜は終了したわけですが、まったくの新アイデアが提示されていることもあれば、着々と市販に向けて進化していることを示すテクノロジーもあり。後者の代表として、チェックしているのがHKSの電動スーパーチャージャーであります。
 
電動スーパーチャージャーは、今のところそれだけで完結するパーツではなく、ターボチャージャーの補助システムという位置づけ。同社の説明によれば、インタークーラーとスロットルボディの間に配置することでターボラグを解消させるといった用途を想定している模様。

昨今のダウンサイジングターボに使われているターボは、割合に小型となっているのでターボラグは少ないのですが、HKSのポジションとしてはピークパワー重視の大型ターボもビジネスの方向性としては想定しているはずで、その上でダウンサイジングターボ並のレスポンスを実現しようとするならば、電動スーパーチャージャーは商品力として必須となると考えているのでしょう、おそらく。

つまり、電動スーパーチャージャーはそれ単体での販売もあるでしょうが、ビッグタービンキットに含むカタチでのセールスも考えているのだろうな、と予想するわけです。ビッグタービン、インタークーラー、電動スーパーチャージャーなどなどのセットにすれば、配管もボルトオン的なキット化が可能になるでしょうし……。
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その意味では、多くの量産車に対応する12Vで、なおかつコンパクトにまとめるというのは重要。無責任な印象では、減速ギアを使うなどしてモーターを小型化できると良さそうと思ってみたり。ターボラグを埋める間だけ使うと考えると連続使用はしないはずなので、熱対策としては空冷(放熱)で十分なのだろうとは予想するところですが、さて?

ちなみに、画像は電動スーパーチャージャーと対にするとおもしろそうなターボジェネレーター(排気を利用した発電機)。ターボジェネレーターで発電して小型バッテリーに充電しておいて、その電気を利用して電動スーパーチャージャーで過給するというシステムもセットにするとおもしろそうなのです。もろもろ大掛かりになってしまい乗用車のエンジンベイには収まらないかもしれませんけれど……。
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S660に新色追加、どこかビートの限定車を思い出させる…

フレンチブルー・パール
新ボディカラーは、ナイトホークブラック・パール、フレンチブルー・パール、ブリティッシュグリーン・パールの3色、そして専用7インチインターナビが新設定!
ホンダの軽スポーツカー「S660」にコンプリートカー「Modulo X」が新登場! に合わせて新色の追加、あわせてナビ装着パッケージも新設定されております。

新色は、上記3色ですが、ビートの時代からホンダの軽スポーツに惹かれていたファンにとってはフレンチブルーから限定車バージョンCを想像し、ブリティッシュグリーンからバージョンZを思い出すのでは?

しかし、それよりも注目はついにディーラーオプションとして7インチナビが設定されたことかもしれません。
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従来はナビを載せようと思うと、6.1型のセンターディスプレイ(メーカーオプション)を選択したうえで、スマートフォンで有料の専用アプリ(internavi POCKET)をインストールしてつなぐ必要がありましたから。いまやスマートフォンを使っていないというユーザーは少ないでしょうが、それでも専用ナビへのニーズは高いと聞きますので(年齢を重ねるほど、その傾向は強いとか)。

その意味では、大きな画面の専用ナビはS660のユーザーニーズに応えたものといえそうです(汗)

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カムのないエンジン「マルチエア」を支えるシェフラーのテクノロジー

カムを使わず油圧で吸気バルブを動かす「マルチエア」、そのサプライヤーはシェフラーだった
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2018年もうろうろしてきた「人とくるまのテクノロジー展2018横浜(主催:公益社団法人 自動車技術会)」。19世紀にドイツで操業、現在ではグローバル展開をしているメガサプライヤーのシェフラー・ブースには、その活動範囲の広さをアピールする数々の展示あり。中でも目を惹いたのがFCAのハイテクノロジー「マルチエア」 エンジンのカットモデル。なんでも、マルチエアのメインパーツといえる油圧によるバルブ駆動システムのサプライヤーがシェフラーということでのアピールであります。

それにしてもマルチエアのカットモデル、記憶にある限りでは初めて目にしたのですが、吸気バルブを動かす油圧アクチュエーターのそれは、一見するとインジェクターのよう。そしてバルブごとに油圧システムを有しているということは、片バルブだけの開閉という制御も可能になれば、同一シリンダーの2つのバルブそれぞれを異なるタイミングで異なるリフト量で作動させることも可能。本当に、いかようにも吸気バルブを動かせるメカニズムなのだなあ、とあらためて思うのでありました。当然、シリンダー内の旋回渦のコントロール範囲も広がるはずであります。

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それにしても「FCA(フィアット・クライスラー)のマルチエア」と聞いたときと、「シェフラーが支えるマルチエア」と聞いたときで印象が異なるのは、なぜでしょうか(笑)

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