
慶應義塾大学より「一般の熱エンジンの効率とスピードに関する原理的限界の発見(リンク先はpdf)」というリリースが出ております。そのサマリーによれば、この大発見によって明らかになったのは次の通り。
一般的な熱エンジンについて、「効率を高くしようとすると不可避的に時間当たりの出力が小さくなってしまう」ことを、定量的で厳密なトレードオフの関係を新たに証明することで、理論的に明らかにした別の箇所を引用すると、
一般的な熱エンジンについて、効率を高めようとすると仕事率が不可避的に小さくなってしまうことを示す原理的な関係式を導出しましたということになります。
この理論は、熱エンジン全般に有効ということですからもちろん内燃機関も、この原理に従うというわけ。
現在、高出力なエンジンと高効率なエンジンというのはニアリーイコールというか、目的に対する技術的なアプローチとしては似ている部分もあると理解されている面もありましょうが、根本的には高効率と高出力は両立しないという話。もっともフリクションが少なく、熱エネルギーを有効利用できるエンジンがあったとしても、高効率なモードと高出力なモードは同時に成り立たないというのは肌感覚で理解できるところといえるかも。
そして、この原理的な理論によって
ほぼすべての熱エンジンの限界を定めるだけでなく、出力の限界がどのようにして定まるのかも明らかにしています
といいます。環境負荷の問題から内燃機関を積んだ自動車に限界が近づいているというトレンドも感じる昨今ですが、こうした理論によってそのタイミングが早まるるのかどうか。逆にいうと伸びしろも明確になることで、内燃機関のライフが伸びるかもしれませんが、さて?
そしてリリースの図2が示す、物理的なエンジンが可能とする領域の曲線は、シリーズハイブリッドやトランスミッションなどが内燃機関をどのように利用すべきなのかを理解する基礎となるような気もするのです。
精進します。




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