クルマのミライNEWS

自動車コラムニスト 山本晋也がクルマのミライに関するニュースをお伝えします。

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2013年04月

バックカメラにズームレンズを採用するのはいかが?

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先般、アウディが軽量の四駆スポーツカー・コンセプトとして「TT ウルトラクワトロ」を発表したわけですが、1111kgという軽量ボディを2.0リッターターボで走らせるというメカニズム的な部分は置いておいて、気になったのは後方視界を確保するためのデバイス。

ボディ構造やらエンジンパーツ、外皮にいたるまで見直してダイエットをしているにも関わらず、このコンセプトカーにはロールケージが備わっていて、そのためにスポイルされる後方視界をカメラによってカバーするというアイデアが盛り込まれております。このあたりはレーシングカーでは常識となっているので、そうしたレーシングトレンドが市販モデルへ拡大しつつあるのだなあ、と自然な流れと感じる次第。

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そして、このインテリアの画像を見ていて、ふと思い浮かんだアイデアあり。 

この画像によれば、いわゆるバックミラーの位置にモニターが配置され、そこにカメラでとらえた後方の様子が映し出されるという仕組みのようですが、ただ後ろのカメラの映像を映すフェイズから一歩踏み出して、状況によって画角を変えてみるとのはどうだろう? と。

具体的にはバックカメラをズームレンズにして、速度が上がるとテレ側、下がるとワイド側にシームレスに変化させると、ドライバーの感覚に合うのではないかと思うわけです。さらにリバースギアに入れたときにはワイド側かつ、レンズの角度を変化させることができると理想的かもしれませんが、コストを考えるとワイド端にするくらいの留めておくのが吉かもしれません。何事もやり過ぎには気をつけないといけません。

ちなみに、このエントリは思いついて書いただけなので、すでに採用例があるとか、どこぞがパテントを持っているといった点については未確認ですので、あしからずであります(汗) 

パイクスピークを今年もNSXが駆け上がる、という

アメリカのグラスルーツイベント「Pikes Peak International Hill Climb(通称:パイクス)」といえば、かつてはモンスター田嶋選手のスペシャルマシンや、近年は日本から参加するEVの活躍が知られているところではありますが、いまや米系自動車メーカーともいえるアメリカ・ホンダも、2013年は初めて企業スポンサーとしてパートナーシップを組み、プロモーションとして大いに活用するようであります。


エキジビションとしてCR-Zのメーカー製チューンドカーを走らせてみたり、そしてEVクラスにフィットEVを参戦させてみたりするそうで。こうした展開、これまでダートだったパイクスが、フルターマックになったのも無関係とはいえないのかもしれません。ラリーやダートラでも活躍するホンダ車ではありますが、どうも公式なイメージ的には”土系”には距離をおいているような印象ありますので。

Honda_2013_Pikes_Peak_HPD_CR_Z_racer


その他、二輪・四輪あわせて10台(9クラス)のホンダ車をアメリカ・ホンダとしてサポートするそう。その中にはオープンクラスにエントリーするNSX(第一世代)も含まれておりますが、この流れは来年以降に第二世代のNSXを走らせるのだろうな、という予感ビンビン。

2012_Honda__Pikes_Peak_HPD_entry
※NSXの画像・動画は2012年のもの






そして、次期・第二世代NSXにおいては、なおさらワインディングを駆け上がるシーンが、十二分にプロモーションになりそうな予感。
18298_Next_Evolution_of_NSX_Concept_001



「156あるコーナーにおいて、減速のたびに回収したエネルギーを、立ち上がりで解き放つ」といったイメージで表現すればハイブリッド・スーパースポーツである意義がアピールできるかも?

ニッポンにはDensoのi-ARTがある!

ボルボのディーゼルエンジン技術についてのエントリに対して、i-ARTはトヨタが市販車に採用している、というご指摘をいただきました。言われてみれば、2012年のひとテクにて、デンソーが展示していたのを見ていたはずなのに、すっかり失念しておりました(汗)


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デンソーが世界初をうたったi-ART(intelligent Accuracy Refinement Technology)はインジェクターに圧力センサとメモリICを内蔵させて、入り口での圧力を測ることで、フィードバックする閉ループ制御になっていて、これと300MPaの高圧噴射をあわせて、第四世代ディーゼルのポイントになるということ。

同社のディーゼルテクノロジーに関する紹介には以下のようにシンプルに表現されています。
部品の磨耗や経年劣化によるずれを補正し、常に10 万分の1 秒レベルの高い噴射精度を維持する「i-ART」という技術も世界に先駆けて実用化


フィードバックによる精密な制御よりも、経年劣化への対応を前面にアピールするあたりが、実際のニーズに応えているという印象。ドイツなどのトレンドにある高級車向けディーゼルではなく、商用ディーゼルエンジンとしての用途を意識しているから、こうしたアピールをしているのだろうな、と想像してしまう次第であります。

アルミチューブのフレームにPPカウルを巻いた、トヨタのアフォーダブルカー・コンセプト

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Dimensions: length: 3440 mm; width: 1750 mm; height: 1600 mm Weight: 750 kg
Chassis frame: tubular aluminium
Body shell: Expanded polypropylene achieving a significant weight reduction compared to traditional steel body panels.
Engine and transmission: 1 electric engine per wheel [2- or 4-wheel-drive]
Battery: packaged under the floor
Air conditioning/heater: low consumption heat pump air conditioning system coupled with electric seat heating to minimise power consumption
Defrost system: Heated Windscreen Defroster (HWD) system

トヨタヨーロッパが突如出してきたコンセプトビークル「me.we」は、おそらくパワー的には控えめなインホイールモーターの電気自動車で、なおかつアフォーダブルな価格というグローバル・エントリーモデルの提案といえそう。
全長は軽自動車並で、全幅はBセグ・サイズという印象ですが、注目はボディをアルミチューブで構成、フロア下にバッテリーを配置するというパッケージング。昔から電気自動車や燃料電池車ではプラットフォームにパワートレインをビルトインしたベアシャシー的な発想がありましたが、そうした流れの最新作といえそう。いわゆる衝突安全性は不明ですが、モノコックから次世代フレーム車へシフトするという意味でも、この提案には注目したいところ。

ボディがポリプロピレン製で弾力ある設計ということ、また「me.we」というネーミングからも、シティコミューターとして歩行者保護をかなり意識した感もあるので、いわゆる自動車的な安全基準とは別のなにかを想定している可能性もありという印象を受けますし、ハイウェイを走らないという前提で、そうした新規準の叩き台として、この手のクルマが各社から出てくるとおもしろいことになりそう。

気になるのは「ヒーテッド・ウインドスクリーン・デフロスター」という提案。デフロスターの必要性と、その消費電力を考えると、このシステムは消費電力やスペース的な無駄が省かれているのではないかと期待してしまう次第です。

イメージムービーで確認できるように、U字型ステアリングにスマホをはめ込んだり、アウターパネルを着替えできるようにしたりというアイデアは、かなり現実味がない提案だなー、とも思うわけですが(苦笑)

それでも2CVを思わせるハンモック風ベンチシートで、ルーフにヘッドレストを吊るすというのはユニークで、いかにもアフォーダブルな感じ。



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しかし、裸足で運転するのは危ないような気もします(汗)

可変ウイングにウケる~、ランボV12を積んだFIAT500ムービー



チューニングというかカスタムというか、ともかくFIAT500のボディを切った貼ったしてランボルギーニV12を載せてしまったというスペシャルメイドな一台をレーシングしている映像。排気系の取り回しが厳しいのかサウンドはそこそこですが、アフターファイヤーに痺れます。 そして、なにより途中でヒュッと立ち上がるリアスポイラーがサイコーです。一瞬なのでお見逃しなきよう(笑)

詳しくはwebで(汗)
http://www.oemmedi.it/

”感覚のある”インジェクターで進化するVOLVOディーゼルエンジンはV8を過去の物とする

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ボルボが新しいディーゼルエンジンの基盤技術となる「i-ART」について発表。そのリリースから気になる部分を引用してみましょう。

Volvo Car Group's new engine family VEA (Volvo Engine Architecture) will be launched this autumn with world-first i-ART technology that helps to cut fuel consumption in the new diesel engines.

"Increasing the rail pressure to an exceptionally high 2,500 Bar, while adding the i-ART technology, can be described as the second step in the diesel revolution. It is a breakthrough comparable to when we invented the groundbreaking lambda sensor for the catalytic converter in 1976. It's another world-first for Volvo"

"Each injector has a small computer on top, which monitors injection pressure. Using this information, the self-adapting i-ART system makes sure that the ideal amount of fuel is injected during each combustion cycle."

Volvo Car Group will launch the Volvo Engine Architecture in autumn 2013. With VEA, Volvo will also introduce a new 8-speed automatic gearbox that contributes to a refined drive and excellent fuel economy.

Diesel common rail and petrol direct injection are standard in the upcoming modular range of diesel and petrol engines.

"We will create smaller, more intelligent engines with so much power that they will turn V8s into dinosaurs. Our four-cylinder engines will offer higher performance than today's six-cylinder units and lower fuel consumption than the current four-cylinder generation. On top of that, electrification will bring us up into power figures in today's V8-territory," 

今年秋に発売するという、この4気筒ディーゼルは、V8エンジンを恐竜のような(過去の、絶滅した)存在にしてしまうゾ、という強い意気込みも感じられるリリースの文言となっておりますが、それもそのはずで『それぞれのインジェクターに小さなコンピュータを備えた』テクノロジーを採用しているとのこと。

といっても、イラストで見る限りでは、Micro Processor with Injector Properties となっていますから、なにかを演算するというよりは、インジェクターの状態を監視する燃圧&温度センサーとマイコンをインテグレートした高圧インジェクターという風に見えます。コンピュータというと頭脳と思いがちですが、この場合はもう少し単純な感覚を有するインジェクターという印象を受ける次第。

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The main advantage of the i-ART technology is the improvement of the multiple injection accuracy. This illustration shows the irregular combustion pattern in a traditional injection system compared to a system with i-ART. The secondary injections in the traditional system are oscillating due to influences from the first injection. The i-ART system counteracts this by monitoring the pressure wave and eliminating this influence.
で、この感覚器を持った高圧インジェクターは何がメリットなのかといえば、燃料噴射の圧力が安定すること。

高圧コモンレールの直噴ディーゼルでは、燃料噴射時に複数回にわけて行なうのが常識となっております。このイラストでいうと4回噴射していますから、一般的にいえば最初の噴射は騒音やNOxを抑えるためのもので、2回目、3回目の噴射がメインの燃料噴射となるわけです。が、これまでは最初の噴射で燃圧が下がってしまい、とくにセカンダリの圧力が低くなってしまうという問題があったということ。ボルボのi-ARTでは、各インジェクターからリアルタイムに圧力データをコンピュータに送ることで、複数回噴射でも安定した噴射状態をキープできる。すなわち、効率改善につながるというのが、ボルボの弁。それが、技術的なブレイクスルーなのだとも言っています。


ボルボのVEAが、どのようにしているかは不明ですが、自分の認識では燃料噴射量というのは燃料圧力とインジェクターの開弁時間で決まってくるもので、量そのものを計測しているわけではありません。ですから、圧力が想定よりも下がっていると燃料は少なめになってしまいます。それによって、少しでも狙ったトルクが出ない、想定以上にNOxを排出してしまうという自体になるのを防ぐことが効率アップにつながるのだろうな、と想像。おそらくEGR制御との関係も考慮しないといけないので、その効果を単純化するのはミスリードにつながりそうなので、あくまで想像であります、悪しからず。

個人的には、この感覚をもった直噴インジェクターという基盤技術をガソリンエンジンにも活用しそうな点が気になります。思えば、かつては調整式レギュレーターというパーツにより燃圧を変化させることで、ECUをイジらずに燃料噴射量を変えてやろうという、今思えば乱暴なチューニングもありました。20年来、燃圧というのが非常に気になっていることも、このVEAにちょっと惹かれる理由なのかもしれません。
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