
スズキの飛び道具、こと「アルトECO」はJC08モードで30.2km/Lという省燃費がうりなわけですが、同時に燃料タンクが20リッターと小さくなっていることが物議をかもしているようです。
航続距離を短くしてまでカタログスペックの追求をしたというのを批判するひともいれば、不要な重量になるガソリンを必要最小限の搭載量に制限するというのを評価するひと、また軽自動車を短距離用途のクルマだと考えれば20リッタータンクでも充分以上だとするひと、様々のよう。
どの見方も正しいというか、なにを重視するかで評価が変わるのは当然ですが、とはいえこれからは燃料タンクの小型化というか、タンク容量によって航続距離を稼ぐというのはトレンドに逆行しているかもしれません。
むしろ、燃費スペック×タンク容量=航続距離 という机上の計算における航続距離で比較されるというか、それが重視されるのではないか、と。
たとえば、プラグインハイブリッドのシボレー・ボルト。
モーターと基本的に発電用1.4Lエンジンで動く、このハイブリッドカーは、16kWhのバッテリーと8ガロン(約30L)の燃料タンクを有しています。
カタログスペックでいえば、バッテリー満充電からの走行距離は約40マイル、エンジンを動かすことでさらに約300マイルを走ることができるとされています。つまりボルトの最大航続距離は340マイル(約550km)。
あらためてアルトECOの最大航続距離を計算すると 30.2km/L × 20.0L で、約600km となるので、航続可能距離でいうとボルトとアルトECOは同等、むしろアルトのほうが少しばかり足が長いということになるわけ。
で、どちらが優れているという話ではなく、これからは500km程度の航続距離があれば十分で、それ以上を目指すために燃料の搭載量を増やすのはナンセンスという時代ではないかと思う次第。
いや、EVの潜在的な航続性能(バッテリー容量よりも家庭での充電能力) を考えると、短距離ユースでは100~200kmの航続距離で十分という提案がなされているともいえます。
となると、ガソリンエンジン車では燃料タンク10Lもあれば用が足りるということになって、そうした前提で設計されるようになると、また異なるパッケージの提案があるかもしれません。
そういう意味では初代スマートの前期型が燃料タンク22L(※記憶違いだったらすみません)だったのは、慧眼だったのかも?