
人テクで見たこちらのエンジン、イギリスに本拠を置くリカルド社のブースに展示してあったものです。4気筒のディーゼルエンジン「JCB444-LSR」。ベースとなっているのはショベルカー用のJCB444でありまして、ボア(109mm)、ストローク(134mm)とも拡大され、排気量を5リッターとしたスペシャルメイド。クランク軸の位置からするとかなりピストンが横に倒されていることが分かります。
タイトルにあるように、このエンジンの最高出力は750hpもありまして、最大トルクは1500N.m。定格回転数は3800rpmとなっています。トラクター用のディーゼルエンジンなどを生産しているJCB社のプロジェクトである、ディーゼル車の最高速チャレンジ用にチューニングされたエンジンということでありました。
その最高速用マシンでは、このエンジンを前後に載せたツインエンジン仕様だったということで、合計すると最高出力は1500hp! 350.092MPH(563.418km/h)の最高速記録を残したということです。
で、それだけであれば単にパワフルなディーゼルエンジンというだけなのですが、こいつの興味深いところはタービンが直列のツインとなっている点。この画像でいうと左側に見えるタービンのほかに、右奥にもタービン(アクチュエーター)が確認できると思います。そしてレイアウトがユニーク。いわゆる普通のシーケンシャルとは異なり、ひとつめのタービンで過給した吸気を、さらにふたつめのタービンで過給するという「2段ターボ過給」をしているのです。なぜ、こんな必要があるかといえば750hpという目標出力を達成するためには6barの過給圧が必要で、そのために「2段ターボ過給」が必要だったということ、なのです。ビッグタービンを回すためにスーパーチャージャーとタービンを直列でつなぐというアイデアは聞いたことがありますが、高ブーストのためにターボで過給したエアを、さらにタービンで過給するというのは初耳。世の中には色々なアイデアを考える人がいるものですね。